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地獄旅行3 ページ7

目を開くとそこは深淵だった。
Aはそこが地獄だと気付くと、必死に虎杖の名前を呼んで探し回った。


「ゆうじ!ゆうじ!助けに来た!どこ!?」

時間の流れが掴めない中、数分から数十分は探し回ったが、ただ暗闇が続くのみで一向に手がかりはない。


『貴方の大切な人はいつも此処にいます。』

泣きそうなAは七海の言葉を思い出し、自分の胸をトントンと叩く。


「…え?何?」

胸を叩く指の動きに共鳴するかのように、Aの胸から飛び出してきた白い光。

白い光はゆっくりと形を整え、次第にハッキリとした人型になった。


「キミは…誰?その制服…高専の人なの?」

「キミが僕を選んでくれたんだ…!覚えてない?」

「ごめん、全く」

おかっぱ頭で高専の制服を着込んだ、Aと同じくらいの歳の少年は、少々興奮気味に話しかけて来る。


「突然びっくりしたけど、みんなの事を真近で見る事ができて嬉しかったよ!」

「何の話?取りあえす、一緒にゆうじを探してよ、そして一緒に帰ろう」

「…残念だけど、僕は悠二と違って居るべくしてここに居る。探すのは手伝うよ!」

「……死んじゃったってこと?」

Aの問いに少年は答えないまま、ぐんぐんと先を歩いていく。


「居たよ」

「ゆうじ!」

まるで地獄を知り尽くしているかのように、少年はすぐAを虎杖の元まで案内した。


「ゆうじ!起きて!帰るよ!」

「………んぁ?A…?」

見えない木にもたれ掛かるようにして眠っていた虎杖を起こし、Aは少年を振り返る。


「キミは誰?どうしてぼくの中にいたの?」

「キミがキミの心を作るお手本に、僕を選んでくれたんだよ。僕が1番、七海を知っているからね!」

「七海の友達なの?じゃあ、やっぱり一緒に帰ろうよ!」

Aは力強く少年を説得し続けるが、彼が首を縦に振ることはなかった。


「でも、七海に伝えて欲しい事がある。」

「聞くよ、何?」

「『進め、僕が導いてやるから』って」

中身のなさそうな言葉に困惑するAに、少年はまっすぐ横を指差して告げる。


「さ、行って!時間がない。ポータルが閉じちゃうからね。ここをまっすぐだよ。」

少年に背中を押され、Aはまだ夢うつつな虎杖を支えながら進む。
時折後ろを振り返れば、少年が大きく手を振っているのが見えた。


「キミ、名前は!?」

Aはもう遠くなった少年に尋ねる。


「七海に聞きな!」

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設定タグ:呪術廻戦 , 男主 , 七海建人
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虚無 - ちょー面白かったです (5月14日 17時) (レス) @page15 id: 4a11fac183 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - ぁさん» わーいありがとうございまーす (2022年2月7日 11時) (レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
- 泣けた (2022年1月26日 8時) (レス) @page15 id: 4b3179590f (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - れもんくんさん» わーいありがとうございます!ちまちま更新するのでよろしくお願いします〜! (2021年4月19日 21時) (レス) id: 1af1ac3f06 (このIDを非表示/違反報告)
れもんくん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!新しい作品お気に入りしちゃいました!w (2021年4月18日 23時) (レス) id: 4fa0c92de2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小倉トースト山田 | 作成日時:2021年4月13日 18時

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