【チーズニョッキの醤油がけ】�� ページ9
「見ててもいいか？」
「お好きにどうぞ」
俺はあまり料理をしない。妻が出ていってからはデリバリーとか、お袋が作りにきてくれたりとか、たまに自炊してもオートミールくらいのものだった。
「高カロリー夜食、最高だな。」
七海は冷凍庫からみじん切り玉ねぎ、冷凍ニョッキを取り出し、グラタン皿に盛る。その上にとろけるタイプのチーズとブラックペッパーを大量にまぶしてトースターにぶち込んだ。
「カロリーは大事です。それに、これから寝るので本日分の摂取カロリーはチャラになります。」
「……本気で言ってるのか？」
「いえ、芸人の真似事です。」
彼の表情はいつも深刻そうだった。その顔でこんなユーモアを言うのだから追いていけない。
「いい匂いだ。チーズが程よく溶けてる。」
「大事なのは焼き色です」
七海は料理が好き、というかトースターを見つめる顔色を見るに美味しいものが好きらしい。
チーンという音と香ばしい匂いで俺はもう待ちきれなくなった。腹の虫が鳴いている。こんな気分は久しぶりだ。
「醤油をかけると美味しいんですよ…」
席に着いた七海は慎重そうに告白した
「ソイソース？」
「ソイソース。」
七海は赤子でも見るような目でニョッキを見る。800mlの醤油をポンッと気持ち良い音を立てて開け、トクトクとチーズの上に注ぐ。
湯気を立てていたチーズがその冷たさに萎縮して蠢いた。
「Aさんもどうぞ」
七海は俺の前に無造作に醤油を置くと、大きなスプーンでチーズとニョッキを遠慮なく抉る。
冷たい息を何度か吹きかけた後、クリーム色の物体は彼の口の中へと消えていった。
ごくり
彼の姿を見ているだけで涎が出た。こんなに美味しそうに、幸福そうに食事をする人は見た事がない。
恍こつとした顔で咀嚼する彼を見て、俺もソイソースをかけて口に含んだ。
「美味しい」
ソイソースとペッパーのハッキリとしたスパイス、玉ねぎの優しい甘み、チーズの僅かな酸味が程よくマッチしている。七海が重要だと言っていた焼き目はパリッと香ばしく、一方でチーズの伸びはどこまでも糸を引く勢いで素晴らしかった。
あーーー……
「「ビールが飲みたい」」
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
