深夜の邂逅�� ページ8
助手席に乗ってシートベルトを締めた。右ハンドル、何とも言えぬロマンを感じる。
「明日のご予定は？」
後方確認をして車を発進させた七海が俺に尋ねる
「…知らない。あぁ予定管理か、すっかり忘れてた。クソッ。」
予定を忘れたのではない、予定管理を忘れたのだ。あまりの情けなさに自分をぶん殴りたい気分だった。
「…患ってどれくらいですか？」
「…2008年に帰国してから殆どずっとだ。」
心に傷を負った兵士に見られる記憶力の低下。俺にもそれは顕著に現れていた。
「WTBの面接を受けたと言っていましたね」
「やけに軍に詳しいな」
高専へ向かう車の中で少し漏らした過去
Warrior Transition Battalion(兵士転換大隊)
心身に傷を負った(多くは心)兵士に「治療」という任務のみを与える軍の一大隊だ。
「あそこで治療を受けた。一時は完治と言えるほど回復したが、その後すぐ除隊した。」
ものの数分で車は駐車場に納まった。
「明日は午後に1年生の英語の授業があった筈です。五条さんが漏らしていました。」
「そうか、ありがとう。」
車のロックを確かめて、七海はマンションのオートロックをくぐった。エントランスホールにはふかふかとした大きなソファがある。
「呪術師は稼ぎがいいんだな」
「1級になるとそこそこです」
チーンと音を立ててやってきたこれまた豪華なエレベーターを見て、俺はスウェットとジャージでここに立っている事がとても恥ずかしくなった。
エレベーターは7階に止まり、七海は3番目のドアの前で足を止め、鍵を取り出した。
「当ててやろう、誕生日は7月3日だな？」
「……何故か7と3という数字に呪われているようで…」
ガチャッと音を立てて扉が開いた。
「男の一人暮らしにしては綺麗すぎるな、ゲイか？」
「そういう発言、時代錯誤ですよ。」
ドアの側に鍵を置いて、七海はジャケットを脱ぎながら部屋に入っていった。俺もそれに続く。
「本当に綺麗だな。俺とは大違いだ。」
一人暮らしの1LDK。日本にしては広々としているのではなかろうか。
「夜食作りますけど、食べますか？」
「なら甘えて…」
ここまで見て貰えばわかると思うが、俺にとって七海という男はとても話しやすかった。
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
