深夜の邂逅�� ページ7
時刻は深夜2時を回ったところだった。
俺はいつもこの辺の時間に目が覚める。日本に来てから数日が経ち、時差ボケも解消されたようだ。
窓の側に立つ
昼はジメジメとしていた空気も、夜風となってからは幾分か涼しく感じられる。
「ホープ…」
スマホのロック画面に映る娘は、何年経っても小さいままだった。
写真を撮ったのは4歳の頃。妻のミアが愛想を尽かして娘ホープを連れて出て行く数日前の話だ。
ゴンッ
隣の部屋から大きな音がして思わず肩を震わせた。
「いって〜」
悠仁の声がする。部屋の片付けでもしているのだろうか。成長期に夜更かしは良くない。
他人の心配をしている自分の指が酷く震えているのに気が付いた。
俺はスニーカーを持って部屋を出る。家の中で靴を脱ぐのはなかなか慣れそうにない。
＊
「はっ…ふ…」
少し息が上がってきた。
高専を出て数十分、辺りは車通りの少ない街に変わっていた。
過ぎ去る車のヘッドライトに右半身を照らされながら、連日の雨でぬかるんだ地面に足を奪われそうになりながら、俺は走った。
「はぁ……はぁ……ぁ…」
T字路の信号待ちで足を止めた。すると、これを待っていたかのように心拍数と呼吸数が一気に自己主張を強めてくる。
もう、走れそうにない。
「Aさん？」
信号待ちをしていた車から男が声をかけてきた。
「七海、さん…」
信号が青く光った。
七海の動かす車は、左折後5m程進んですぐに停車。彼は車を降りてこちらへ向かってきた。
「深夜のランニングは下手すれば通報されますよ」
「はは…笑えない」
七海に差し出されたミネラルウォーターをぐっと飲み干した。
「すまない、新しいのを買おうか？」
「構いません」
七海は俺からペットボトルをひったくると、驚いた事に片手で潰して小さく折りたたんでしまった。
「握力、すごいんだな…」
「よくゴリラと言われます」
彼はそう言って不本意そうにサングラスを掛け直した。
「送っていきましょうか」
「…でも、高専からの帰りじゃないのか？」
「そうですが、ここから10キロ近く歩いて帰るつもりですか？」
七海の言葉に俺は驚いた。10キロ近くも走ってきたのか。そう考えると急にドッと疲れが出て思わず膝に両手をついた。
「…七海さんも疲れてるだろ、のんびり歩いて帰るよ。」
「……私の家なら車で数分ですが」
思いもよらない言葉に俺は思わず顔を上げた
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
