初陣�� ページ24
廃校に乗り込むと、人目がなくなったのをいい事に俺は腰からハンドガンを取り出して探索を始めた。
エントランスホールには中身のない靴箱が並んでおり、中央の天井には古ぼけた学校に似つかわしくない豪華なシャンデリアが寂しく光っていた。
「流石に机や椅子はないんだな」
「別の学校に移されたんでしょう」
教室をひとつひとつ調べる時間はない。ひとまず俺達は慰霊碑のありそうな校庭へ向かう。案の定、それはあった。
「やはり、戦時中の慰霊碑のようですね。人骨が出てきたので供養のために建てたと書かれています。」
「誰か個人の慰霊碑なら、そいつの墓掘り返して塩撒いてオイルライターで燃やして終わるのにな。」
「あのドラマ面白いですよね、私も見てました。」
「日本でもやってたのか」
任務中だと言う事も忘れて世話話で盛り上がっていると、校舎の中からガタンッと大きな音がする。顔を見合わせた俺達はすぐ音の方へ向かった。
「誰かいるのか？」
ベレッタを構えながら長い廊下を進む。不穏な空気を感じ取った七海も背中に隠した鉈を取り出す。
進んだ先はL字路で、目の前には階段。右に曲がれば校長室だと書いてある。俺は曲がり角の壁に背をつけて息を整えた。"俺が行く"、そうアイコンタクトすると七海は静かに頷いた。
ひと思いに廊下を振り返ると、そこにいたのはガキだった。俺は自分の体が一瞬硬直したのがわかった。
「おい、何してる。」
俺の呼びかけにガキは振り返る
「かくれんぼ、にいちゃんがいないの。」
「お前…さっき公園にいたろ。」
少年の顔をよく見てみると、先程公園で『にいちゃん』の話をしてくれたあの男児だった。
「それ、ホンモノ？」
少年は俺の銃を見て言った
「まさか、おじさんがそんなヤバい事する訳ないだろ。さあ、ここは危ないからにいちゃんを探して帰ろう。」
少年を担ぎ上げて俺は言った
「にいちゃんは、どんな人ですか？」
七海は俺の腕に乗った少年に尋ねた
「でっかーーい。おじさん達よりも、でっかーーーーーーい！！」
耳元で張り上げられた声に俺は思わず怯んだ。
瞬間、廊下の奥から言葉では表現できない程歪んだ覇気が這い出して来た。
「Aさん、その子を連れてここを出ましょう。子供がいては不利です。」
「にいちゃん！」
出口へ走る俺の肩から身を乗り出して少年は叫んだ
兄貴が見つかったのか、と思い、俺と七海は来た道を振り返った。
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
