ハイリスク�� ページ21
俺は目の前に横たわった銃を見て呆然とした。俺はまた戦地に行く。前回は仲間の棺と共に帰還した。
「明日は私と初任務です。これはその時にお渡しします。」
七海はギターケースの蓋を閉めて言った。
「何故だ？」
「明日の任務が終われば、私がまた回収します。貴方に武器は渡せません。」
何を言っているんだ
「部屋にハサミやカミソリ、紐を使用する靴はありませんか？ 全て没収させて頂きます。」
「お前な…」
一体何の権限があってそんなふざけた事を言っているのか。俺は自分が身の回りの事もできない幼児扱いされたようで、はらわたが煮えくり返った。
「貴方は"ハイリスク"、なんですよね？」
通る声で七海は言った。その言葉で俺はハッとする。
WTBで何度"ハイリスク"の印を押された事か。自ら命を絶つリスク。軍人の自死率が異常なのは、どこの国も抱えている大きな問題だ。
「ハサミやカミソリで切ってしまえば、靴紐で絞めてしえば、そう思った事、一度や二度ではないでしょう。」
七海はそう言い切った後に「コードの長い電化製品、割れる恐れのある食器も禁止です。」と付け足した。
俺は何も言い返せなかった。その通りだった。
＊
七海が"掃除"してさらに何もなくなった部屋のベッドで、俺はひたすら物想いに耽った。
死にたい、そう思った事はない。
死のう、そう思った事は何度もある。
ただ、そうする気力がなかった。だから今、ここにいる。
ドアを叩く音がする
「A？ いる？」
悠仁だ。
「入っていいぞ」
そう言って俺はベッドから起き上がる。部屋に入ってきた少年はその何もない内装に驚いたあと、「夕飯、食べた？」と聞いてきた。
時計を見ると19時半。お腹は空かないが、ディナーの時間だ。
「作ったんだ、ビーフシチュー。伏黒と釘崎も食べるって。」
「なら、頂こうかな。」
「やった！ じゃ、おれの部屋ね！ 隣だからね！」
嬉しそうに部屋を出ていく。心なしか、僅かにスパイスの匂いが漂う。
彼の部屋に電気コードはあるのだろうか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
