歳を取ると後が怖い�� ページ19
「ありがとう」
一応触診してもらい、特に怪我をしているという訳ではなかったのでとりあえず湿布を貼ってもらった。
「歳は？」家入の問いに、
「34」俺は短く答えた。
「七海、気を付けなよ、こうなるからね。」
「もうなってます」
「あはは！！」
静寂そうな彼女が吹き出して笑うのを見て意外に思った。
「ふぅ、私はここの医師で、あんたのかかりつけ医にもなる訳だから、一応色々聞かせてもらおうかな。」
息を整えた家入はデスクトップパソコンに新しいカルテを記入していく
「OK、何でもどうぞ。」
俺が答えると、家入はまず当然ながらフルネームと生年月日、性別を尋ねてきた。俺は１つ１つ答え、家入は記入する。
「身長、体重は？」
「6フィート、181ポンド。」
「七海」
「185cm、82キロあたりです。」
「ありがとう」
家入に話を振られた七海は素早く計算して答える。人間計算機のようだ。
「既往歴、持病は？ あるいは身内に遺伝病疾患にかかった者はいるか？」
「祖父が心臓病だった。母親は40代の頃に乳がんを発症してた。」
「OK、持病はなしか？」
言葉に詰まった俺を見かねて手を止めた家入がこちらを見る。
「脳損傷とか？ 頭に銃弾が残ってるか？」
「PTSDと適応障害を患ってる。健忘症、高血圧、追体験、不安、不眠、注意力散漫。」
俺は指折り数えて言った。
「あと躁鬱」
「精神疾患の盛合せだな」
「そう、"ハイリスク"指定。」
ダブルクォーテーションをつけて強調しながら話すと、彼女は嬉々としてカルテに記入していった。
「A、お前が任務中に殉職、あるいは病気や事故で昏睡、急死した場合の緊急連絡先を教えてもらえるか？」
「弟は今アフガニスタンだから…耳が遠いけど母親の連絡先を教えておこう。」
その後は服用している薬をいくつか答え、尋問は終わった。
家入はそのままパソコンに向かって何かを打ち込み、プリンターから出てきた一枚の紙を俺に突き出した。
「ん、ここにサインして。」
「何だこれ」
「私の治療でお前が死んでも文句言わないって誓約書」
突きつけられた紙を見ていた俺の視線は、すぐさまその上の顔を見る。平然とした顔で、さも当たり前であるかの様に紙を押し付けてくるその態度、俺が間違っている気さえしてきた。
「私もサイン済みです」
七海が言う。それならば仕方がない。
俺は誓約書を引ったくって汚い筆記体で用紙を完成させてやった。
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
