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「いいえ…思ったことが口に出てしまうだけです…」


「ふーん…そうかい。ごめんね。口を出してしまって。昔のヴィルを思い出しただけなんだ」



 ルークは思い出に浸った
 昔のヴィルというのはルークが初めて彼に会ったときのお話
 


「前のヴィルも今の君と同じく、私が選んだものをすべて拒んでね。自分の好きな色ではなく、演技中のキャラに見合ったものを頼んできたさ」


 昔のヴィルさんと同じ…?
 ナミは目をぱちくりさせた



___ヴィルさん…?

 ナミは昨日の夜のことを思い出した
 夢かと思ったが違う
 あの鏡に映っていたのはまぎれもなくヴィル
 そして雰囲気が異なっていたのは“昔の”ヴィルだから



「そういえばナミ、この痣はどうしたんだい?」


 ルークは「え?」と言うナミに手鏡を渡した
 その目元にはうっすらと【林檎】の形をした痣があった
 朝はなかったはずなのに…



「きっとベッドから落ちたんだね…んふふっ、可愛らしい。メイクで隠しておくからね」


 ルークはリキッドファンデーションでその痣を隠した
 だがそれは無駄なことだった


 時間が立つにつれその林檎の痣は
 よりハッキリと目元に浮き出されるのだから




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作者名:真灯 | 作成日時:2022年9月30日 18時

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