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 そして、無事に今夜の演劇は幕を閉じた
 たくさんの歓声に包まれている
 「ブラボー!」と誰もが感動していた



「さて、帰ったらお祝いしなくちゃ!またジャクジーでお願いね?」


 王子様姿のヴィルは満面の笑みでナミに歩み寄る
 「アンタ、やればできるじゃない」と手を前に出し、握手を求めている。完全にナミに心を開いている状態だ
 しかしナミは無言のままだった
 ヴィルの手を握ろうともしない
 ステージのカーテンが閉まると慌ててルークが駆け寄った



「ナミ…?」


「……」


 瞳が虚ろなナミのことを不思議そうにルークは見つめる
 次の瞬間___
 ナミは脚を砕き、その場に倒れこんでしまった



「ナミちゃん!!」


 ルークよりも先にエペルがナミのことを受け止めた



「大丈夫!?ねぇ!!」


 必死にナミに呼び掛けるエペル
 ヴィルは唖然とし、その行動を見下ろした



「エペルくん、ちょっとナミの顔を見せてくれるかい?」


 ルークは冷静にナミの頬に触れた



「あの痣…なくなっている…」


「え?どういうこと?ルーク」


 ヴィルはその意味をルークに問う
 ルークは難しい顔をして「実は…」とその説明に入った
 メイクをする際、目元に林檎のような形をした痣があったこと。演劇中に隠したはずのその痣がハッキリと浮き出ていたこと
 そして、その痣が消えていたこと



「おかしな話だ…」


「その通りだよエペルくん」


 ルークはじっ、とナミを見つめた
 けれどもナミはやわらかい寝顔をしているため、眉間にあった皺は徐々に消えていった



「林檎の痣…ね…」


 ヴィルは顎に指を当てて考え出すが、何も答えが浮かばない。けれど、次のルークのヒントにより、それが露になった



「それと微かにナミから__ヴィルのユニーク魔法を感じ取ったよ」




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作者名:真灯 | 作成日時:2022年9月30日 18時

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