修羅場に遭遇したヒーローのお話【名探偵コナン】

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……そうだ。この世界に個性が無いのなら、元の世界に戻る手立てもないってことだ。
まぁ、私をこの世界に飛ばした敵(ヴィラン)ならこの世界にも来れるのだろうが、私を飛ばした本人が私を帰してくれるとは思えない。つまりは、万事休すってこと。


『……………まじかよ』

ぽつりと、思わず口から言葉が漏れた。
その声を聞いて、心配そうに、スコッチがこちらを見つめてくる。

スコッチ「………念のため聞いておくが、こっちに知り合いはいないのか？」

『……はい、多分いませんね』

バーボン「その、元凶の敵(ヴィラン)って奴が見つかれば、帰ることができるんですよね？」

『……多分。おそらくは、そうかと。ただ…』

続けて尋ねて来たバーボンの言葉に、無意識のうちに頭を抱えこむ。

敵(ヴィラン)と言えども、外見は普通の人と同じ。つまりは大した特徴が無いのだ。
その上、移動のスペシャリストの個性、転移系を持つ敵(ヴィラン)をこの世界から見つけ出すとすれば、中々に骨が折れそう……ってか正直無理ゲーな話だった。

おまけに、今日はともかくとして私には帰る場所が無い。仕事も無い。あと金も無い。
とんだ無い無い尽くしだ。これじゃ帰る帰れないどころではなく、1週間後の私の安否すらも定かじゃ無い。
こうなれば無理ゲーどころかただのクソゲーである。


私はつらつらとこれからの事を考えて、大きなため息をついた。

どう考えても絶望しか出て来ない。これが俗に言うチェックメイト(ただし言われた側)だろうか。全くなんとも情けない。


ライ「ならば、俺たちの手伝いをする気は無いか？」


と、その時。
今まで黙っていたライが口を開いた。今度はバックミラー越しにではなく、直接私を振り向いて見つめてくる。

私がへっ？と聞き返すと、ライは真っ直ぐな瞳のまま言葉を続けた。

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