せんぱい。【Waku.M】 (ページ26)

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koki

Aちゃん。

『黒ちゃんのクラスにめっちゃ可愛い子いない？』

『たしかー、A？みたいな名前の、』

ある日突然、湧の口から出てきた名前。

あの頃は全然誰だかわかってなくて、

俺の中では " 可愛いって噂されてる子 "

としか認知してなかった。

席替えをしてAちゃんと隣の席になった。

｢黒田くんよろしくね｣

とこっちを見た顔は本当に可愛かった。

それからたくさん話すようになった。

授業でわからなかったところを聞いたらちゃんと教えてくれるし、

俺のどうでもいい話も聞いてくれる。

そんな中でも1番盛り上がる話は湧の話。

俺らの共通の知り合いで、

お互い最近あったエピソードを話している。

湧の話をしているときのAちゃんはいつも笑顔で

どんなときよりも1番楽しそうだった。

笑顔を見れるのは嬉しいけど

湧の話というのが気に食わない。

夏休みに入って会えない期間が続いていたが、

文化祭の準備が始まった。

俺はほとんど毎日部活があるから

部活が終わってから準備に参加する。

そんなある日だった。

｢わ、え、待ってください、！｣

声がした方を見るとAちゃんがいた。

誰かいるのかな、なんて軽い気持ちで見たのが間違いだった。

Aちゃんの視線の先には

｢わ、く、、？｣

2人はバイト先が一緒なだけじゃないの？

この前電車で見かけたのはバイト終わりじゃなかった？

湧が手を重ねていたのはたまたまじゃない？

いつから？

Aちゃんの笑顔を見るのが辛かった。

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@ryusesama
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