パーフェクトヒロイン。After Story

強さ ページ27

〇強さ
紫耀side
「A、こんなところにいたんだね」

「あ、紫耀」

ベランダで黄昏てるAちゃんは

俺の方を振り向きながら、ふわりと微笑む。

白い肌が月明かりと街灯に照らされて

美しくて、儚くて、どうかこのまま消えていなくなりませんようにと願うばかり。

「何してるの？寒いでしょ」

「、、星見てた」

嘘つき。

都心じゃ星なんて観測するほど見えないもん。

「ねぇ、紫耀」

「うん？」

「もう私、頑張れないんだぁ、、」

そう言って

大きな瞳から大粒の涙を

ポロポロこぼす

「A、おいで」

肩をそっと抱き寄せれば

華奢で華奢で、華奢すぎる体

「頑張らなくていいよ」

「、、、つらいの、、本当に、、」

毎日毎日仕事に奔走するA

たくさんたくさん頑張っているのに

『白石A、3作連続センター』

ーまた白石？運営しっかりしてくれ

ー活動休止も注目を集めるためだった説

ーゴリ押しじゃん、ずっと頑張ってる子達が可哀想

ーふつーに嫌い、なんでそこまで人気なの

心無い言葉をあびせられることだってある。

Aは強いから

これまではそんなに気にしていない感じだったけど

復帰して、少しだけ繊細になった心には

まるで、刃物みたいに鋭い言葉ばっかりで。

「こっち向いて、A」

不安そうな顔で涙をこぼす彼女の頬にそっと触れて、涙を拭う

Aの涙は、苦手だ。

この前の選抜発表から、誹謗中傷が過激で

Aはずっと不安定な感じ

それにもかかわらず、今頑張って主演の映画を撮影していて

きっともう、いっぱいいっぱいなんだと思う。

心配で、ミナミちゃんに様子を伺えば

どう考えても限界なのに、ずっと笑顔で完璧に仕事してるって。

Aは

強すぎるんだ。

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