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トム「…おっと。まだルールを説明してなかったな。
ルールは簡単だ。ボールを空中で奪い合い、あのリングに通せば10点だ。
魔法を使うことは禁止。ホウキの巧拙を競うスポーツだ。」
と急に冷静になったトム先輩に驚く。
マッシュ「……」
ルールを聞き終えたマッシュが黙っていると
トム「飛べないたけのこはただのたけのこだぞ!!」
マッシュ「何も考えないで喋ってるだろこの人…」
というどこまでも冷静なマッシュのツッコミに私は吹き出しそうになるが、トム先輩はまた神妙な面持ちになって話し始める。
トム「言うまでもないが、オレはこのドゥエロに全てをかけている。だから君を誘った。」
マッシュ・ニーア「「……」」
なんだか、先輩のようなタイプの人は苦手だが、悪い人ではないんだなと改めて思った。
トム「オレは試合に戻る。あとは君次第……」
と言ったところで、レアン寮のチームの内の1人がトム先輩に激突した。
トム先輩の体からはメキメキと嫌な音が鳴った。
そしてそのまま地面に叩き付けられてしまう。
ニーア「ッ!先輩!!」
「おっと悪い悪い。わざとじゃないんだ。」
と相手は言っているが、私は見ていた。
トム先輩とぶつかった時、相手は笑っていた。
恐らく故意にぶつかったのだろう。
マッシュがトム先輩の元へ駆け寄った。
マッシュ「先輩」
トム「うぐっ…」
その時、レアン寮のチームがボールをゴールに入れ、また10点加算されてしまう。
「雲行きが怪しくなってきたぞ…」
などと観客から声があがる。
マッシュ「大丈夫ですか。」
トム「ぐっ…すまない…骨をやっちまったみたいだ…」
やはり、あの時の音は骨が折れた音だったのだろう。
自分が猫を助けた時、木の上から落ちたことを思い出して寒気がした。
トム「き、君にスポーツマンシップはないのか?」
とトム先輩が苦しそうに声をあげる。
「…は?
スポーツマンシップとかくだらないね…要は勝てればいいんだよ。
そこでうずくまってな。甘ちゃんどもが。」
そう言って相手は飛び去って行った。
すると、トム先輩が小さく口を開いた。
トム「フフッ…情けないな…
もう時間もない。点差もかなり開いている…
だがマッシュ…これだけは言っておく。
大事なのは勝ち負けじゃない。
本気でやったかどうかだ!!」
マッシュ「……」
トム先輩が、どうして女子たちにチヤホヤされているのか、今のセリフで少し分かった気がした。
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作者名:イルカ x他1人 | 作成日時:2024年3月6日 19時