君 の 声

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" コンコン "







「Aちゃん、おはよう」


A「…おはよう」






俺のことちらっとみてすぐ目をそらされた







「ちょっとお話ししよ」


A「いいよ」






昨日全然話してくれなかったのが嘘みたいに

返事をしてくれる







「入院、ながいの？」


A「今年で9年目」


「…そっか、」


A「玲於先生？」


「ん？」


A「…ごめんね」






そう言ってまた俯いちゃって

ポロポロ涙こぼしてる






「どうした、泣かない泣かない」


A「登坂先生も好きだけど、玲於先生も好きだよ」






登坂先生がいい って言ったこと。気にしてたのかな


こんなに話してくれたのも


玲於先生も好きって言ってくれたのも嬉しくて






「ありがとう、俺気にしてないから平気」


A「…じゃあ怒らない？」


「うん、怒らない。ちょっと話し聞きたいだけ」






怖がられないように ゆっくり言い聞かせるように喋る


これは臣さんに教わったこと。






「誕生日いつ？」


A「1がつ」


「お、まじで。俺も1がつ」





「好きな人いないの？」


A「学校行けないから、いない」


「そっか」






ちっちゃいことから

どうでもいいことから少しずつ聞いていこう






「臣さんが担当の時、この時間帯何してたの？」


A「…車椅子で中庭行かせてくれた」


「じゃ、今度俺とも行こうな」






A「…あのさ？」


「うん？」


A「昨日。怒った？って聞いたじゃん」


「うん」


A「登坂先生、怒ると怖いの。昨日も怒った」


「なんで怒られたの？」


A「玲於先生に酷いこと言っちゃだめって」






臣さん、やっぱりAちゃんのこと怒ったんだ





A「…だから、玲於先生は優しくして」


「え？笑」


A「登坂先生は怖いから玲於先生は…」


「いいよ。じゃあまず仲良くなろう」






このあともAちゃんから話しかけてくれたり

俺か聞いたこと、一生懸命答えてくれたりで

昼になるまでずっと喋ってた






A「玲於先生、次は夜ご飯の時来てね」


「わかった」






Aちゃんのほうから部屋に来てってお願いされるくらいまで仲良くなれた



夜ご飯の時来て欲しいって言われたの、正直めちゃくちゃ嬉しい。









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