スノードロップ２ (ページ20)

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Aside

最後の授業、空きコマだけど今日は大学からバイト直行する日で

食堂の窓側の席で玲於くん待ち

ハナちゃんも授業だし、なにしよう、なんて思ってたら

A「…え、亜嵐くん」

亜嵐「…さっきちゃんと話できなかったから」

A「…ごめんね、あんな帰り方して」

亜嵐「…いや、俺が悪い。…ごめん」

A「…それはなんのごめん？」

亜嵐「…全部」

『全部』その一言で片付ける彼は、ずるい

わたしが何を見て、何を見なかったか

きっと確信が持ててないんだろうな、そう思ったけど

ずっと下にしてた目線、あげたら

今にも泣きそうな子供みたいな顔した亜嵐くんがいて

A「…そんな顔しないでよ、ずるいよ、」

亜嵐「…ごめん」

A「…それもずるい」

亜嵐「…いま言ったところでなんの信用もないと思うけど、俺ほんとにAちゃんの事好きで」

A「そんなの私だって…」

亜嵐「…でも俺、Aちゃんの事苦しめてるでしょ」

A「…そのぶんクリスマス、楽しませてくれるんでしょ？」

亜嵐「…ふは、もう俺てっきり見捨てられたかと思ってた」

A「なに言ってんの、今更ひとりにされても困ります。笑」

亜嵐「…Aちゃん、あの写真…」

A「…亜嵐くん、わたしなにも見てないよ」

亜嵐「…でも、」

A「…見てない、何も知らないから大丈夫」

聞くのが怖かった

何も聞きたくない、見たくない、知りたくない

こうやって逃げてる私が結局いちばん、ずるい

そっか、って切なく笑う亜嵐くん

目のふちにちょっと涙が溜まってて

何があったの？誰をおもってるの？

知りたいけど、知りたくない

亜嵐「…これだけは言わせて、俺、ほんとにAちゃんの事好きなんだ、」

A「…わたしも亜嵐くんのこと好きだよ」

お互いの口から出た『好き』はどこか切なくて

今までの『好き』とは何かが違っていて

ねえ、なんでそんなに泣きそうなの？

…わたし、なんで泣きそうなの？

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