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聞けば彼も高校の時夏祭りは、保育ルームの子供達やクラスメイトと普通に行っていたらしい。だけど浴衣姿は初めてらしく。歩き辛ぇ、なんて言いながら着てきてくれた彼には感謝しかない。非常に眼福である。
「あ、かき氷ある」
「そうだな」
「…」
「…食えばいいじゃねーかよ」
やった、と言い屋台の方に向かう。かき氷は家でも作れるけれど、このシロップの種類は流石に揃えられない。隼くんに好きな味は?と聞いたら特に無いと言われてしまった。仕方なくいちごとレモンをかけて道の端で待っていてくれた彼の元に持っていく。シャク、とスプーンで刺しいちごを一口。うーん、懐かしいこの味。
彼にもレモンの方の氷をとってはい、と差し出す。すると驚いたように目を開いて「は?」と零した。
「あ、あれ?レモン嫌いだった?」
「いや、違えけど…」
「?」
「…今日だけだからな」
そう言って私のかき氷を差し出す手を掴みながら、パクリと食べた。どう?と訊いたら悪くないと帰ってきた答え。何をそんなにためらっていたのかな。その答えは足元にいる甚平を着た子供から知ることになった。
「あ!あーんしてる!」
「!?」
「…」
楽しそうにきゃっきゃっと笑いながらされたその発言に思わず固まる。あ、ああ〜、そういうことだったのか…。ちらりと隼くんを見ると、そっぽを向いていて。その子供は親に呼ばれるとそちらの方へ駆けて行き、残された私達の間には照れくさい雰囲気が漂う。
「…ご、ごめんね」
「…別に」
その後「美味いからもう一口」と強請られた私は撃沈することになった。自覚してからするあーん程恥ずかしいものはないよね…。
▽△
その後は隼くんと話しながらゆっくりとお祭りを堪能した。高一に訪れた時は、鹿島くんと虎太朗くんと鷹くんで来たらしく、無くしたおもちゃの剣の代わりに隼くんが妥協した紐を引っ張って商品が繋がっているというくじ運ゲームの屋台に行ったという。その時鷹くんの代わりに何故か虎太朗くんが引いてその剣と同じものを見事引き当てたというミラクル話を聞いたり。
金魚すくいなんて簡単だろ、とかいう彼の腕前を見せてもらったら本気のハンターの目でひょいひょいと金魚を掬っていったのを横から見ていたり。
射的でも私がふざけてあれとって、と言った小さなイヤリングの的(本物に当てる訳にはいかないので石の代替品の的だった)に見事的中して私がそれを貰ったり。
二人で繋いだ手は熱く、夜は更けていく。
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フルリ(プロフ) - amyさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、長い間付き合って頂きありがとうございました!続編も、書かせて頂きますので、今後もぜひよろしくお願い致します…(//∇//)! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 三崎さん» コメントありがとうございます!少しでもこの作品が心に触れることが出来たのならこれ以上の嬉しいことはありません。続編のお声、ありがとうございます!ぜひ続けさせて頂きますので、どうぞまた、よろしくお願い致します…! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - (´・ω・`)モカエルさん» コメントありがとうございます!是非、作らせて頂きますので続編もどうぞ、よろしくお願い致します! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 晴耕雨読さん» コメントありがとうございます。大好きと言って頂けてとても嬉しいです…!そして、リクエストと続編希望のお声ありがとうございます!もう暫く時間はかかりますが、作らせて頂くことにしました…!どうぞ、続編もよろしくお願い致します(//∇//) (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
amy(プロフ) - ここまでお疲れ様でした!いつも更新を楽しみにしていました。大好きな作品が今後も続くことを祈っています(^-^) (2018年5月14日 21時) (レス) id: 195e3fe04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルリ | 作成日時:2018年4月2日 1時