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のどかなお昼寝のあと、午後のお散歩として森ノ宮学園を回る。つ、ついに隼くんの野球してる姿が見れるのか…!実は、子供達がお昼寝している辺りからソワソワしていて落ち着かなかった。それを兎田さんに指摘されてまたからかわれたんだけど。
奇凛ちゃんと手を繋ぎながら校庭を目指して歩く。…いや、広いなあ。私の行っていた高校はこんな校庭まで距離はなかったぞ…。
校庭に人の姿を認め始めた頃、カキーン、という小気味良い音が響いた。オーライ、オーライ、ナイスキャッチー!という運動部ならではの掛け声が響いて、少しだけ足取りが早くなる。炎天下の中、蝉の鳴く声が響いていた。
「かみたー!」
「あ、兄貴だ!兄貴ー!」
「相変わらずの人気だねえ、隼」
「!!!」
今練習ははゲーム形式で行われているらしく、丁度隼くんが打席に立ったところだ。子供達と一緒にフェンスにしがみついてゴクリとその展開を見守る。その鋭い目でピッチャーを見据え…ストレートを打った。カキーンと良い音を立ててボールは外野を超え伸びていく。
余裕の走りで一塁、二塁へと渡った彼は、まだボールが来ないと分かるとそのまま三塁を踏みホームベースへと戻って来た。OBチームは拍手で出迎えハイタッチをしようとするが彼は全スルー、子供達も大喜びしていた。
「おー、飛んだねえ。どうだった?Aちゃん、彼氏の勇姿は。…Aちゃん?」
「…」
私は、といえば兎田さんの言葉に返せない程、隼くんに魅入っていた。野球をする彼の姿は初めて見たが、や、やばい、格好いい。これはファンが出来るのも納得するというものだ。
今は違う人が打席に立っているがそんなところには目もくれず、ベンチと称された石灰で囲まれた四角の中にいる隼くんを見る。話しかけられているが一切元チームメイトとは顔も合わさず前を向いていた。が、隣にいる男の子がフェンスを指差しながら話しかけているとギョッとしたように彼が此方を向く。
目があった気がしたのでへらりと笑いながら手を振ると、なんと目を逸らされてしまった。…これは、いつも保育ルームでみる彼と鷹くんの光景じゃないか…?鷹くんが泣き叫ぶ気持ちが分かった気がする。
「目、逸らされた…」
「お、おでっ、無視された…」
「お前らおんなじこと言ってんなー」
けらけらと笑う兎田さんに殺意が湧いたので鷹くんの鼻水攻撃をかましてやった。鹿島くんの「狼谷も照れてるだけですよ」というフォローが身に染みる。
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フルリ(プロフ) - amyさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、長い間付き合って頂きありがとうございました!続編も、書かせて頂きますので、今後もぜひよろしくお願い致します…(//∇//)! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 三崎さん» コメントありがとうございます!少しでもこの作品が心に触れることが出来たのならこれ以上の嬉しいことはありません。続編のお声、ありがとうございます!ぜひ続けさせて頂きますので、どうぞまた、よろしくお願い致します…! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - (´・ω・`)モカエルさん» コメントありがとうございます!是非、作らせて頂きますので続編もどうぞ、よろしくお願い致します! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 晴耕雨読さん» コメントありがとうございます。大好きと言って頂けてとても嬉しいです…!そして、リクエストと続編希望のお声ありがとうございます!もう暫く時間はかかりますが、作らせて頂くことにしました…!どうぞ、続編もよろしくお願い致します(//∇//) (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
amy(プロフ) - ここまでお疲れ様でした!いつも更新を楽しみにしていました。大好きな作品が今後も続くことを祈っています(^-^) (2018年5月14日 21時) (レス) id: 195e3fe04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルリ | 作成日時:2018年4月2日 1時