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お揃いのお話 ページ19

桜の花もすっかり散り、青々とした緑の葉が初夏を感じさせる時期になった。暫くしたらもう梅雨に入るだろう、いつの間にかそんなに経っていたのか。刻々と進んでいく時間に焦燥さえ覚える。

そして最近めっきり暑くなった影響からか、恋人であるAからホラー映画を見ようと提案されたのが昨日。訳が分からない、なんで俺まで見なきゃいけねーんだと思ったが了承してしまったのも惚れた弱みというやつだろう。別にあんなものはフィクションだから怖くもなんともないのだが、彼女はそうではないらしい。DVDを持つのも恐る恐るといった感じで壁にある部屋の扉をノックし訪ねて来た。


「お邪魔します…」
「おう。飲みもん入れてくるからテレビ用意しといてくれるか」
「えっ、待って一人でやるの…」
「…」


縋るような目で見てきたが生憎それに流されるほど弟で鍛えられたおねだり攻撃への耐性は弱くない。まあ弟とAじゃ可愛さの比が違うが。部屋から無言で出ると薄情者ー!との声が聞こえて来た。ホラー映画を一緒に見てやるんだ、寧ろ情に厚いだろ。

グラスを二つ持って戻るとセットし終わったらしいAがテレビからめちゃくちゃ離れた位置で待機していた。何してんだ、と目線で問いかけるとどうやらDVDの選択画面から怖かったらしい。体育座りになった彼女はいつもより一回りほど縮こまって震えていて小動物みたいだ。


「そんな遠くからじゃ見えねえだろ」
「見える!見えるよ!!私目良いもん!」
「ほら、来いよ」


テレビから適度な位置に座り隣の床を手で軽く叩いて示す。それを見てぐっと詰まったAは観念したように重い腰を上げ俺の隣に座った。かと思ったら正座をして俺の方向く。


「隼くん…お願いが」
「あ?今更止めるとかなら聞かねーぞ」
「や、違くて…」


そしてこの状況である。胡座をかいた足の間に座るA。俺の手は彼女のお腹に回させられ且つ俺よりも一回りほど小さな手が上から僅かに震えながら掴んでいる。そんなに怖いんなら見なきゃいのに、と思うが怖いもの見たさには勝てないらしい。

何でこの体勢なのか訊いてみると「これなら両側隼くんの腕だし後ろから何か来ても隼くんが壁になってくれるから」とのこと。俺は身代わりか。

隼くん、いいよ…と全然良さそうじゃない声で映画の再生を促す。スタートの所を押すと古い屋敷が場面のオープニングから始まった。

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設定タグ:学ベビ , 狼谷隼 , 学園ベビーシッターズ   
作品ジャンル:アニメ
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フルリ(プロフ) - amyさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、長い間付き合って頂きありがとうございました!続編も、書かせて頂きますので、今後もぜひよろしくお願い致します…(//∇//)! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 三崎さん» コメントありがとうございます!少しでもこの作品が心に触れることが出来たのならこれ以上の嬉しいことはありません。続編のお声、ありがとうございます!ぜひ続けさせて頂きますので、どうぞまた、よろしくお願い致します…! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - (´・ω・`)モカエルさん» コメントありがとうございます!是非、作らせて頂きますので続編もどうぞ、よろしくお願い致します! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 晴耕雨読さん» コメントありがとうございます。大好きと言って頂けてとても嬉しいです…!そして、リクエストと続編希望のお声ありがとうございます!もう暫く時間はかかりますが、作らせて頂くことにしました…!どうぞ、続編もよろしくお願い致します(//∇//) (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
amy(プロフ) - ここまでお疲れ様でした!いつも更新を楽しみにしていました。大好きな作品が今後も続くことを祈っています(^-^) (2018年5月14日 21時) (レス) id: 195e3fe04b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フルリ | 作成日時:2018年4月2日 1時

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