アルバムのお話 ページ1
とある昼下がり。私は狼谷くんのお家でだらだらとしていた。晴れて恋人同士になった私たち。だけど何をしたらいいのか分からないので取り敢えずいつも通りの日常を送っている。世の中の恋人たちは何をしているんだろうなあ。
「そういえば狼谷くん」
「あ?」
「なんか前にさ、アルバム転がってるの見たんだけど、見ていい?」
「好きにしろよ」
お許しをもらえたので野球雑誌とともに積み上げられているアルバムを捲る。何で一人暮らしなのにアルバム持ってきたのか、というのはこの前お母様と鷹くんが来た時にそのまま置いていったものらしい。グッジョブお母様。
パラリパラリ、と捲っていると狼谷くんが写っている写真を見つけた。変わってないなあ。同じクラスの欄にはこの前保育ルームでお世話になった鹿島くん…って、この顔…!!
「えっねえちょっと!狼谷くん!」
「何だよさっきから」
「この!これ!」
「ああ?鹿島がどーした」
「あの女装の男の子じゃん!!」
何であの時気づかなかったのだろう、まあ自分のことだけで精一杯で深く考える暇がなかったとも言えるが。それを聞くと彼は言ってなかったっけか、なんて興味なさそうに野球関連の雑誌を見ている。本当に野球好きだね!ちょっとは私の話にも興味を示そう!?
しかし確かに実物の鹿島くんは目がぱっちりしててとても可愛らしいお顔立ちだった。私もこんな顔に生まれたかったなあなんて彼の写真を羨ましそうに見ていると、後ろからひょいとアルバムを取り上げられてしまった。
私からアルバムを取り上げる相手なんて狼谷くんしかいないので抗議をしようと後ろを振り向こうとしたが、それは背後から回って来た手で目隠しをされ阻止される。そして耳元で彼の口が動く気配がした。
「鹿島ばっか見てんなよ」
「ひっ、ふ、ふぁい…」
心臓の音が煩い。何なのだろうか、さっきまで雑誌を読んでこちらをちらりとも見ていなかったじゃんか!目隠しを外されたので睨みの一つでもくれてやろうと声がした方を睨む。そこには飄々とした狼谷くんの顔がすぐ近くにあり、伏し目がちに流し目をされてさらに私の心臓は鼓動を激しくした。動悸で息が苦しい。
この美形め、なんて悪態になっていないような悪態をつき、顔を伏せる。ふっと鼻で笑って「耳真っ赤だな」なんて言ってるけどそれ誰のせいだと思ってるのか。
なんだか付き合う前よりも糖度が上がった彼に私は体が持つのか不安になってきた今日この頃である。
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フルリ(プロフ) - amyさん» コメントありがとうございます。こちらこそ、長い間付き合って頂きありがとうございました!続編も、書かせて頂きますので、今後もぜひよろしくお願い致します…(//∇//)! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 三崎さん» コメントありがとうございます!少しでもこの作品が心に触れることが出来たのならこれ以上の嬉しいことはありません。続編のお声、ありがとうございます!ぜひ続けさせて頂きますので、どうぞまた、よろしくお願い致します…! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - (´・ω・`)モカエルさん» コメントありがとうございます!是非、作らせて頂きますので続編もどうぞ、よろしくお願い致します! (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
フルリ(プロフ) - 晴耕雨読さん» コメントありがとうございます。大好きと言って頂けてとても嬉しいです…!そして、リクエストと続編希望のお声ありがとうございます!もう暫く時間はかかりますが、作らせて頂くことにしました…!どうぞ、続編もよろしくお願い致します(//∇//) (2018年5月15日 13時) (レス) id: b6276197f5 (このIDを非表示/違反報告)
amy(プロフ) - ここまでお疲れ様でした!いつも更新を楽しみにしていました。大好きな作品が今後も続くことを祈っています(^-^) (2018年5月14日 21時) (レス) id: 195e3fe04b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルリ | 作成日時:2018年4月2日 1時