19話 ページ20
白布side
清原と並んで自販機へ向かう。
こいつはあまり自分から話すタイプでは無い。
かと言って、俺も雑談が得意なわけでもなく、二人の間には沈黙が訪れる。
でも、気まずいような沈黙ではなく、なにも話さなくてもいいと思える静けさで俺は気が楽になる。
ここから自販機へ行くには下足を通らなければならない。
視界に下足が入っていた時、清原の足が止まった。
目線の先には、須藤が清原の靴箱に紙を押し込んでいるのが目に入った。
「なにしてんだよ」
声をかけるとバッと須藤が振り向いた。
清原の靴箱をあけると、ルーズリーフにマジックペンでいくつもの悪口が書かれた紙が入っていた。
最近、うちのクラスで須藤がいじ/められているのはあまり見なくなっていた。
飽きられたのか、そう思っていた。
けどなんで須藤が清原にこんなことをするんだ。
「あ、あの、これは…」
須藤は泣きそうな顔で清原に弁明しようとする。
それを清原は無表情で見つめる。
いつまでたっても何も言わない須藤に腹をたち、俺が声をかける。
「お前清原に助けられてたんじゃねえのかよ。なんでこんなことしてんだよ」
下足でのこと、体育館でボールをぶつけられていたこと、天童さんに聞いただけだが、ジュースをかけられた須藤にハンカチとティッシュを渡したこと。
清原は須藤を気にかけて優しさでやってたんじゃねえのか
それを仇で返すようなことをなんでするんだ
「私は…」
苛立っている俺とは裏腹に隣から冷静な声が聞こえた。
「私はあなたが何を思ってこんなことをしたのか興味はないし、こんなことされても何も思わない。けど、
あなたって自分がされて苦しんだことを他人にできるような人なんですね」
靴箱に入っていた数枚の紙を取り出し、そのまま清原は歩いていった
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作者名：プリン猫 | 作成日時：2020年4月20日 0時
