10話 ページ11
「……はあ、マネージャー、ですか」
バレー部の練習を見に行った次の日の昼休み、友達とご飯を食べようと机を引っつけてお弁当を広げていると牛島さんと大平さんが来た。
なんでも、今週末にある練習試合の時にマネージャーの仕事をして欲しいとかなんとか。
「どうして私が…」
バレー部にはマネージャーはいないみたいだけど、昨日見た時は1年生が積極的に裏仕事を行っていた。
「練習試合他校でやるんだけど、行くのはレギュラーだけだから。
できるだけ直前まで練習しておきたいし…
どうかな？」
それ、わたしにメリットはあるのか？
横にいる友達は「いいじゃん行きなよーどうせ暇っしょ？」なんて言っている。
「いやめんどくさ」
私はこういう時に人に気を遣うほど優しくはない。
今週末、平日ならまだしも、休日に時間を潰されるなんてありえない。
「ていうか、他の人で良くないですか？」
白鳥沢のバレー部はなかなかの強豪だし、イケメンセッター白布さんは女子にかなり人気、と五色に聞いたことがある。
そこら辺の女に頼めば喜んでやってくれるんじゃ？
「いや、天童が『Aチャンがいい！』って言ってて…」
「で、本人は来ないんですね」
何故かわたしは天童さんにひどく気に入られたようで、移動教室ですれ違う度に絡んでくるようになった。
しかも、『今日のAチャン何点〜？』という謎絡みで。
「清原はバレーが好きではないか」
今まで大平さんの隣に立っていただけの牛島さんが口を開いた。
「いや、まあ嫌いでは無いです」
「じゃあ来い」
「…はい？」
「俺たちは強い。俺たちは勝つ。マネージャーをする理由などそれだけで十分だ」
「ちょっと何言ってるかわからないです」
牛島さんと噛み合わない会話していると、そばにいた友達が「昼休みあと10分だよん？」と言ったため、すぐさまご飯を食べる。
「今週の土曜、午後2時に正門前」
それだけ言って2人は教室を出ていった。
「………嘘でしょ」
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作者名：プリン猫 | 作成日時：2020年4月20日 0時
