薔薇を愛でる。 (ページ8)

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宇宙に詠うページ8

【Jun Side】

欲しいのは形のないものだと、貴方といることで知った。狂おしいほど貴方が好きだと、自分の気持ちを知った。俺に全てを教えてくれるのは、いつだってAヌナだ。だけど、恋を知ったその日に、なんてくだらない物なんだろうって思った。

だって、報われようのない物だと知っているから。幾つ愛の言葉を囁いても、晴れることのないこの感情は、一方通行で溢れてしまいそうなんだ。必死に両手を広げても、もう抱えきれない。だから、１つずつでいい。俺のこの気持ちをAヌナに知ってほしいんだ。

「Aヌナって、意地悪だよね」
「なんのこと～？ジュンフィ」
「…マネヒョンからプリン貰ったの隠してること、俺知ってるよ？」

キッチンで洗い物をするAヌナの背中に話しかける。キョトンとした表情で、手元の作業は止めることなく顔だけコチラに向けた。リビングにいるメンバーは各々好きなことをしているが、俺は念の為Aヌナの側に行くと、こっそりと耳打ちする。悪戯に口角を上げて笑えば明後日の方向に視線を泳がせる貴方。嘘が下手だからバレバレなんだけどなあ。なんて思いながら、そんなとこが愛しくてふうと短く息を吐く。

「誰にも言ってないよ、１つしか貰わなかったんでしょ？」Aヌナ甘いもの好きだもんね、と言ってやれば申し訳なさそうに頷いた。俺が言いたい意地悪はそんなどうでもいいことじゃないけど、それを言ったところで何も意味をなさないから仕方ない。だって、俺の気持ちを貴方は知ってくれない。

「まさかジュンフィにバレてたとはなあ」
「たまたま見ちゃったんだよね」
「スングァナとかじゃなくて、安心したわ」
「ヌナ狡い～！って言いそうだもんね」

Aヌナの洗い物を手伝いながら話をしていると、リビングの方にいたスングァンがクシャミを１つするもんだから、そっと声を押し殺してAヌナと笑い合う。

貴方は俺が知る誰よりも儚く美しい。伏せたまつ毛も水に濡れた指先も、全てが薔薇の様に綺麗だ。貴方を見ていると俺は眩暈を起こしてしまいそうになる。こんなに綺麗な貴方をどうすれば俺の物に出来るんだろう。もう一方的でも構わないんじゃないか。だって今までも俺はそうやってAヌナを見つめてきた。今更貴方から見返りを求めることに、果たして意味なんてあるんだろうか－－－

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