薔薇を愛でる。 (ページ6)

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アレクサンドライトページ6

【Joshua Side】

「ご馳走様でした…美味しかったね？」
「本当にジスってセンスいいよね！どれも美味しかったしお店も綺麗だし、わたしいま凄い幸せ」
「喜んでもらえて僕も幸せだよ」

普段と似たり寄ったりな食事も、Aと２人きりという、ただそれだけのことで特別なものに感じられる。いや、僕にとってそれだけのことと済ませるには大きすぎる出来事だ。

食事を食べ終えほっと息をつく。お互いがお互いにつられて笑みを零す。あたたかくふわふわとした時間。僕が夢見ているのはAとの当たり前な暮らしなんだろう。君と僕と２人だけの世界で、何にも囚われず笑いあっていたいんだ。僕の隣にはAがいて、Aの隣には僕がいる。そんな世界で暮らしたい。

「あ～本当にジスみたいな人彼氏に欲しい」
「…僕もAみたいに可愛らしい子が彼女だったら、毎日幸せだと思うよ」

何気なくAが呟いた言葉。君は今なにを思っているの？心からそう思っているなら、僕の手を取って僕を好きだと言ってほしい。思いつきだけで言ったのなら、僕は君をAを－－－

あ、駄目だ。抑えなきゃ。涙がこぼれてしまいそうで、平然を装って微笑む。そうすれば君が安心するのを、僕は知っている。まだ君に僕の全てを告げるのは早い。ましてこんな他の人も居るようなところでは尚更駄目だ。可愛いAの表情を、知りもしない人たちなんかに見せてはいけない。みんながAを好きになってしまう。

「恥ずかしいから、今言ったこと誰にも内緒ね？」

自らの言葉の意味を理解して、恥ずかしくなったのか頬を朱く染めるA。人差し指を口元に持っていきハニカム君が、僕はやっぱり大好きで、Aが愛しい。憎らしい。好きだ。好きなんだよ。君だけ愛している。

「さあ、そろそろみんなが怖いから帰ろうか」

ふつふつと湧き上がる感情を全て呑み込んで、スッと立ち上がる。あくまでもAが望む僕でいなければならない。君を汚してしまいたいという気持ちに今は１人蓋をする。

弱虫でかっこ悪い僕は、君に堂々と気持ちを告げては失礼かな？矛盾する気持ちを抱えて明日も明後日も、その先も僕はAの隣で笑っているだろう。

◎ Joshua STORY ０１
アレクサンドライト.

「僕は君の王子様になりたいんだ」

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