85話 ページ41
，
「さ、時間は有限！キリキリ吐きなさい」
「明日から忙しくなるんだから、早く寝かせてくれると助かるわ」
「聞かなきゃいい話では……？」
「ん？」
「…………」
ニッコニコで圧をかけるロビンに勝てたことはない。
あの二年で学んだことだ。
「ぜっっったいウソ！！何もないのに、どこをどうしたらあの宴でピアス借りる流れになるのよ！！！」
「ぷ、プライバシー存在しないの！？」
「それに、あんなことしておいて"何もない"はあり得ないわ」
「ウ"ッ……！」
「ほらみなさい！」
既に寝入ったモモの助くんを起こさないように配慮して、小声の女子会(？)。鋭過ぎるナミさんと的確に突っ込んでくるロビンに、ぐうの音も出ない。
本当だったら、全部終わった後に聞かれるはずだった。事実ナミさんからそう言われていたし。
だが、先ほどトラファル……ローさんと話していたときに起こったことがきっかけで、逃してくれなくなった。
数十分ほど前のこと。
「ワノ国に興味があるのか」
「えェ、まあ。旅をしていた二年前から色々と_____」
最終地点となるワノ国のことは、案の定ローさんもあまり知らないようで。集めているものの、鎖国して長いから外部に出ている情報は基本古くて信用しづらいと聞いたので、私が事前に持っていた情報とすり合わせていたのだ。
錦えもんさんはサンジくんと酒盛りしていることが惜しまれるなあと思いつつ本を指差しながら話していたとき、不意に顔に影が差した。
「この本にはワノ国の慣習が載っていて_______」
何となしに上を向くと、思ったより近くにあった顔に思わず固まった。この固まる癖どうにかした方がいい、本当に。
立っていると顔が遠いので純粋に怖いのだが、座っていると必然的に近くなるのではっきり顔は見える。隈はあるものの端正な男性らしい顔に思考停止。
ふと止まった私の声に、不満気にこちらを見たことで彼もそれに気付いた。
目を細め、
_______ヒュッ、ダァアンッ！！！！
と、思ったところで、顔と顔の間に刀が飛んできた。
ビィイン……と微かに震える刀は刃が剥き出し。眼前で帆柱に刺さる光景に混乱し過ぎて不自然な笑顔のまま固まる私。
咄嗟に頭を後ろに逃して間一髪だったらしい、不機嫌そうに眉を寄せるローさん。
この時点で私は小刻みに震えつつ半泣きだった。
泣いていいと思うんだよ、目の前に刀飛んでくるなんて恐怖体験。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
