76話 ページ32
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DとB、CとBを繋ぐ通路が閉じられた。
R塔に管理システムがあると考えて正しいだろうけれど、確実にR塔へと誘い込まれている。
誰でもいいから、誰かいないかと走り回る刹那、凍えるような冷気が肌を撫でた。方角は_______ビスケットルーム。
といっても私は一度階段を登っているから、恐らくビスケットルームのキャットウォークに出ることになる。やけに寒いのが気になるけれど、嫌な予感もするけれど！！今は気にする余裕がない。
薄暗い廊下を出た先で_______喉が、締まる感覚。
両腕が翼になっている女性が牙を剥き、女海兵さんを襲っていた。
自然系らしい相手の動きは素早く、女海兵さんは周辺に積もる雪で足が取られているように見える。あの素早い相手に、その一瞬のタイムラグは致命的だ。
荒れ狂う吹雪の中で、弾丸のような雪玉の雨。
真白な吹雪の中に紛れる血飛沫は、よく映えた。
「ぁ……あ……っ！！」
だめ。ダメ……！！
_______『私が守ってあげる』
脳裏に過ぎった幼い声。耳に届く微かな悲鳴。撃ちつける雪の音。雪に滴る血の音。全てが混ざり合って、ぐるぐる目が回る。
視界が酩酊して、足元がおぼつかない。寒さに肌の感覚がなくなって、上下の感覚すらあやふやになる。
浮かんだ言葉は、思いは、ただ一つ。
ダメ、だめ……！
武器を手に取ったのは、無意識だった。
「_______その子に」
「！？なっ……んでここに！！」
「！？」
「え……」
翼を持った敵と
「触らないで！！！」
キャットウォークから飛び降りて荒れ狂う吹雪の中へ突っ込んで、敵の牙と彼女の肩の隙間に鉄パイプを滑り込ませると、ガギィン！！と音がした。相手が鉄パイプを噛んだのだ。
その一瞬の隙で彼女を後方へと突き飛ばし、私も飛び退いた直後、鉄パイプは噛み砕かれた。
「邪魔するなんて、野暮な人もいたのね」
「ダメ……！その子は、あの子はダメ！！」
「あなた……」
覇気を持たない私が防げたのは、奇跡に近い。噛みつかれる直前で無ければ成功しなかったこと。
小さな傷が多いものの、目立った傷もなく余裕はまだありそうな様子にホッと息が漏れた。
「あら、お友達？よほど大事なのね」
友達、ではない。くいなちゃんとよく似た彼女を一瞬誤認してしまったけれど、座り込んだままの彼女を見て分かった。……違うけど、傷ついてほしくない。
死ん、で、ほしく、ないの。
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