75話 ページ31
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……気のせいかな。遠くの方で地響きのような音がする。
映像電伝虫も警備も無力化したのに、増援が来ないのも違和感がある。中で何か起きているとしか思えない。
何か別のことに気を取られているか、別の場所でルフィさん達が暴れているかの二択。
とにかくトラファルガーさんの到着を待つしかない。
そう思って粘ること少し。カツーン、カツーンと廊下に響く足音に息を潜める。ある程度近づいたところでソッと覗き見て、肩の力を抜いた。
「早かったですね、トラファルガーさん」
「……ああ、ちょっとな。扉は」
「もう開けられます。念の為、到着まで待っていたんですがダメでしたか？」
「いや、いい」
倒れたまま動かないガスマスク集団をチラリと見下ろした後、興味深そうに細めた目をこちらに向けた。
藪蛇は嫌なので無視してレバーを下げ、扉を開く。映像電伝虫はトラファルガーさんの指示で一体だけ放置。戦力を裂く為に誘き出す意図もあるのだとか。
「殺したのか」
「まさか。気絶です」
端的にそれだけ言って開いた扉を通るよう促せば、海賊らしい悪どい笑みで歩いていく。そういうところもゾロくんそっくりだ。
さて次へ、と立ち去ろうとしたとき、首だけこちらに向けたトラファルガーさんと目があった。
「A塔には行くな、死のガスが充満してる。時期にこちらにも入ってくる。作戦をこなした後、他の連中と合流しろ」
「はい。……エッ死のガス！？？！？」
何がどうなってそうなったんですか！！？？
結局トラファルガーさんはろくに説明してくれず。死のガスの意味が分からないままとにかく走る。一旦R塔に戻り、階段を駆け上る。
B塔の方角から大きな足音がする。地響きの具合から考えても、ルフィさん達だけで収まる人数じゃない。本当にA塔の方からガスが来ているの！？乱闘どころじゃないよ！！
恐らく、ガスマスク集団も同じなのだろう。
R塔の人数が増えてきて、上へと向かっている。2階は確かベカパンクがいた当時使っていた部屋らしく、シーザーもあまり使いたがらない部屋だったはず。
そこになら、海楼石の錠が保管されているかもしれない。
とはいえ人が多過ぎて、扉にすら近づけなさそうなので遠回りしよう。
一旦B塔を経由して、仲間の誰かを援軍に連れてきた方がいい。元凶シーザーもいる可能性を加味すると、私一人で捌き切れる戦力じゃない。
足音の響く方向、B塔へ走り出した。
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