72話 ページ28
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「わりいな、おれ今動けねェから、よろしく頼む！」
どっ！！と不可抗力で笑いをとるトラファルガーさんの頭には、縛り付けられたチョッパーくん。
めちゃくちゃいじられている。ちょっと笑ってしまった。
クールそうな、多分ゾロくんと似た性質をしている人だから、多分この扱いは想定してなかっただろうなあ……うちで殺伐は無理だから、諦めた方がいいよ。言わないけれど。
トラファルガーさん曰く、この島にいるのはシーザーという科学者。れっきとした賞金首で、懸賞金3億ベリー。
殺戮兵器を所持した
計画の全体図は、シーザーを誘拐後。
また何か、今度は桁違いのものに巻き込まれるのだと思うと、遠い目になった。
「_______ああ、そっちに隠密行動が得意な奴はいるか」
「この子が得意よ」
「エッ」
嘘でしょロビン！！？ロビンも得意だよね！？
エッ、生贄！？
トラファルガーさんの隈が浮かぶ鋭い目が、こちらを射抜く。実力を怪しむ訝しげなその目に、声が喉の奥に引っ込んだ。身長の高さと目つきの悪さに帽子の影が合わさって、端的に言ってめちゃくちゃ怖い……ッ！！！
「…………」
「……ッゥ、ロ"ヒ"ン"ッ……！」
「虐めないであげてちょうだい」
「……大丈夫なのか」
「もちろん」
ロビンの高い背の後ろに隠れれば、クスクス笑われた。ルフィさんもケラケラ笑っている。味方がいない！！
あまりジッと見られると隠れてしまう、旅の間に染みついたクセが悪化している気がする。
滲んだ視界を拭って、背中越しにトラファルガーさんの方を見やる。片眉を上げて、こちらに歩み寄ってきた。
「……まあいい。失敗するなよ」
「え、ハイ」
「_______長期滞在していたなら、あなたが把握しているのでは？」
「時短だ。隠密行動が得意な奴がいなければ、それでも構わなかったんだがな。迅速であればあるほど良い。おれはもう頭に入ってるから、即席だが地図を渡しておく」
「……分かりました。ならチョッパーくんと同じタイミングで」
「ああ」
トラファルガーさんに言われたことは、多分彼一人でも出来たこと。とはいえ時短には賛成だ。真正面からの戦闘を避けられるなら私も避けたいし。
渡された地図を十秒で頭に入れて、破り捨てた。
かなり簡易版だけれど、問題はないだろう。
「……良いのか？地図はもうねェぞ」
「？ええ。頭に入れました」
「ヘェ」
地図類の暗記は鍛えたから得意だと言えるけれど、そう興味深そうに見られると少し居心地が悪いな。苦笑して誤魔化した。
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