63話 ページ19
，
この船でも目玉のサイズにも叶わないほどの、巨大なクジラにぶつかって落ち着いたらしい。そのクジラを見てラブーンとか何とか話しているが、尾を引く恐怖に力が抜けてしまって何も分からない。
いやもうほんと、皆さん豪胆過ぎない？
どうやら抱えてくれていたのはゾロくんだったらしく、おろしてくれたもののヘナヘナと座り込んだ私に、しょうがねェなと言いたげな顔で頭を撫でた。よく撫でるね。
サンジさんの女性限定点呼に返事をしつつ、ナミさんに指示を促すとこのままでいいと。逆らう方が危ないのは同意見だ。
ビンクスの酒を歌い始めたブルックさんに呼応したのか、クジラの額に乗せられて一気に光を反射する海面が近付いていく。
_______ブオオオオオォ！！！
「出たァ〜〜！！！」
「ウォォォオ〜〜！！『新世界』〜〜！！！」
クジラの遠吠え(？)と共に現れた新世界の空模様は最悪で、幸先悪いにもほどがある世界だった。
「おわあァ〜〜！！！見ろ！！あの島で火山が噴火した！！！」
唯一目視で見える島は最悪の天候。ザアザア打ち付ける雨が重い。かく言う島を囲む海も文字通りの�牴个粒き瓩馬△譴討�た魚も丸コゲ。
それに耐えるこの船の耐久性はどうなっているんだ。
『プォッホーホホホ〜〜〜プォッホーー！！！』
船室にあった電伝虫が泣き叫び始めた。見覚えのあるその様子は、一度見たことがある『緊急信号』。だが、ロビンの言う通り『緊急信号』は大抵罠である。
「もしもしおれはルフィ！！海賊王になる男だ！！」
「早いし喋りすぎだァ！！！」
ですよね。
『助けてくれェ〜〜！！！』
目から大粒の涙を流して叫ぶ電伝虫。その迫力は、まるで罠とは思えないほど迫真だ。
『サムライに殺される〜〜〜！！！』
「サムライ……侍？」
「おや、Aさんもご存じですか？」
「旅をしていた理由なので」
ブルックさんの問いに答えながら思考する。
ワノ国にしかいないはずの、侍が？
では、この『緊急信号』が届く範囲にワノ国があるということなのだろうか。白い竜に乗ったのだから有り得なくはないけれど、目視できるのはあの噴火した島だけ。
あれがワノ国とは思えない。
『誰でもいいから助けて……ここは_______パンクハザード！！！』
そう叫んだ直後、絶叫して途絶えた電伝虫。
侍が、パンクハザードという島に訪れたということ？けれど、鎖国して長いワノ国から出てきた侍がいるなんて思いにくい。
「よし！今の奴助けに行くぞ！！」
き、気になるけど行きたくない！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 769人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
