55話 ページ11
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「ロ゛ヒ゛ン゛〜〜！！ナ゛ミ゛さ゛ん゛ッ！！」
「よく頑張ったわね、A」
「ギャン泣きじゃない」
呆れたようなナミさんとクスクス笑うロビンに真正面からしがみつく。ぎゅうぎゅう力を入れると、落ち着かせるように背中をポンポンと叩いてくれた。
無事、飛来してきていたノアは止まり、ホーディはルフィさんに負けた。幹部勢やホーディの敗北に指揮が落ちた敵の人間達は魚人へ反抗し、瞬く間に騒ぎは沈静化された。
「めっっっっちゃ怖かったよォ〜〜！！」
「アンタ普通の旅人だったもんね〜。初めてでこれじゃ、そりゃ怖いか」
既にルフィさんもジンベエさんにより献血されて元気いっぱい。今は、歓喜の声を上げる広場からヒーローになりたくないという特異な理由で離脱してすぐである。何故かしらほしさんも並走してるけど。
ようやくゆっくり出来ると理解した途端、涙腺が爆発した。みんな嘘みたいに元気で、アラバスタのときみたいにならなくてよかったという安堵もあるけど。
「あら、凄い顔」
「！アハハハ！まあ、Aってこんな豪快に泣く子じゃないしね。ほらA、あそこですっごい顔してる奴を安心させたげなさい」
「？……ヒッ」
促されるままに顔を上げると、深過ぎる眉間の皺と共にこちらを睨むように見つめるゾロくんと目があった。般若かと思うくらいには顔の凄みがあるし、迫力自体二年前より成長している。そんな成長いらないと思う。
「ッハァーーー」
「な、なに……？」
「………………怪我は」
額に手を当てながら、やっぱり皺はすごいままの問いに一瞬頭が回らなかった。てっきりまた何か怒られるのかと思って、強張っていた身体の力を抜きながら力なく首を横に振る。
すると目をパチっと見開いた後、またあの悪い笑み。
「嘘はねェみたいだな」
「……当たり前だよ。元は一人で行こうって思ってたし」
シャボンディ諸島で言った。"強くなった"と。
人一倍自分に厳しいゾロくんにその手の嘘はよくないし、私自身死にたくはない。今となっては、ワノ国について知るという目的を果たすのがいつになるかは分からないけれど。
「やるじゃねェか、道場にいたときの面影もねェな」
「うわ」
ぐりぐりと強めに頭を撫でられ、髪が乱れていく。前髪の奥で満足そうに笑うゾロくんの心情は読めないが、満更でもない。
ふとゾロくんの奥で、暴れるサンジくんと抑えるフランキーさん、ニヤニヤ笑うナミさんを見つけて思わず固まった刹那。
「_______生きててよかった」
声が、耳元で。
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