違うんだ 【尾白猿夫】 ページ30
，
これは、恋じゃない
"普通"と呼ばれる俺と、環境も個性も特異な彼女。
違いすぎるんだ。同じ雄英に通っているのに。とても違うんだ
だから、これは恋じゃない
彼女を探してしまうけど、それは……
彼女を思わず守ろうと身体が動こうとしてしまうけど、それは……
彼女の笑い声を聞いたら何故か安心してしまうけど、それは……
全部、納得のいく説明が出来ない自分が憎い
これじゃ俺があの子を好きみたいじゃないか
そんなのダメだ。彼女の隣にいるべきは俺じゃない、そんなの周知の事実じゃないか
「尾白君！
あのさァ、これからコンビニに__________」
「ぇ、あ、ご、ごめん俺用事あるから…」
「エ、ちょ！」
呼び止める声も、手も振り切って小走りに離れる
段々早まる足取り。視界が滲んでも、構わず走る
「違うんだ、違うんだよ菊一さん……俺は、」
川辺で頭を抱えて、うずくまる。
どうしたらいい？俺は、俺が君を好きじゃないって証明出来るには。
川の水に削られてサラサラと角の無い石が微かに濡れているのか、日光を反射してオレンジ色を宿す
それすら彼女が連想して、もう何もかもシャットダウンしたい気分だ
「_________あっひゃっひゃ！轟君は面白いねェ」
「そうか？菊一も面白いぞ」
「あっははは！ありがとォ！」
思わす顔を上げた視界に入ったのは、歩道橋の上をコンビニ袋をぶら下げて隣同士歩く２人の姿。２人とも笑いあってて、仲睦まじいカップルに見えなくもない。
ほら、菊一さんも俺なんかより彼と一緒の方が楽しそうだ
脳髄に呟く誰かの言葉は反響して、ギュウッと鎖で締め付けられる様な心。辛い、辛いよ
バラバラに崩れる心を拾い集めて、何とかくっ付けて、俺は" 普通 "だって皆に思わせて、平気なフリをする
「好きじゃない、好きじゃない、好きじゃ、」
ブツブツと呟き続ける。まるで暗示をするように。
しかし、石ばかりが蔓延る地面に両手を付き、土下座するような形で何度も何度も額をぶつけた。皮膚は擦り剥き血が垂れ流されていく。
それでも痛みも感触も感じていないかのように、頭をただひたすらに地面にぶつけ続けた
普通な俺が、似合うわけないんだ。釣り合うはずないんだ
でもさ、全然平気じゃないんだよ
苦しいよ。菊一さん
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - ステイン様敵連合の中で一番大好きです 親代わり設定最高です (2018年8月11日 17時) (
レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - vocaloidさん» あぁなるほど！その考え方もありますね！ちょうど１話余っていますし、それを書いてしまおうか……しかし要らぬ深読みではありませんよ！楽しみ方は人それぞれで十人十色とも言いますし、それもそれで良いですね！コメントありがとうございました！ (2017年7月25日 15時) (レス) id: cad46f67b3 (このIDを非表示/違反報告)
vocaloid - 雅榴さん» ご返事ありがとうございます。他の主人公の時に夢主ちゃんが常闇くんと仲が良かったりとしていたので、もしかしてすべてつながっているのではといらぬ深読みをしてしまいました。いつも楽しく読ませて頂いております。続編のほうも楽しみに更新待っていますね。 (2017年7月25日 8時) (レス) id: 328153cf78 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - vocaloidさん» 初コメありがとうございます！質問に答えさせて頂くならばNOです。基本的にはキャラ→夢主という形になっています。逆もありますが……基本的には周りは正常。 わかりにくい描写があったのならば申し訳ありませんでした (2017年7月24日 10時) (レス) id: cad46f67b3 (このIDを非表示/違反報告)
vocaloid - 初コメ失礼します。質問を一つ宜しいでしょうか。一つの物語に出てくる夢主ちゃんと主人公以外の登場人物は狂っているのでしょうか、否なのか教えていただければ幸いです。物語の印象が変わってしまうので、もしよければ教えていただきたく存じ上げます (2017年7月24日 10時) (レス) id: 328153cf78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
