開久の忠犬 番外編

変わらない扱い (開久時代) ページ35

(リク)


動く度に脳や胃が揺れるような感覚になる
吐き気が煽られるたびに息を飲み込み必死で耐える
喧嘩ばっかりの開久じゃ喧嘩しない日は無いしそれに不満はないが、今ばかりは流石に勘弁して欲しい

今朝方は微熱程度だったはずだ。
けれど時間が経てば経つほど吐く息や喉が熱く、体の節々が痛くなっていった。気を張り詰めていないと吐いてしまいそうだ

考える必要もなく体調が悪い。しかしそれを悟られると余計な手間をかけるし、この状態で家に帰りたくないので開久の屋上にて座り込んでいるのだが、染み付いたタバコの匂いが余計に気持ち悪い


「見つけたぜェ A
……ダメだなこりゃ」

「ぅわ最悪……」

「失礼な奴だなテメェ」


屋上の扉を開けて、乱暴に閉めて端っこに蹲(うずくま)る私の前にしゃがむ相良さん
聞くに、片桐さんがお呼びらしい。なんでも開久のテリトリーで暴れるバカを見つけたから来いとのこと

一目見て体調が悪いことに気付いたのか、乱暴に額に手を当ててくる


「あ、待って揺らすと吐く……」

「重症だな。いつもンとこにも来ねえからおかしいとは思ってたらよォ
ここで休むっつー発想がバカじゃねぇか」


グイッと腕を掴み上げ、肩を貸してくれる相良さん
揺らすとやばいつってんのにこの人は……
いつもの場所に行くまで顔が真っ青だの情けねぇだのずっとグチグチ言ってくる。この野郎と嫌味の一つでも言ってやりたいがそんな体力も気力も無いのである。


「智司ィ！そこあけろ！」

「あ？……あぁ」


片桐さんがいつも座っているソファに捨てられるように放られ、肩を強く押されて横になる形に。
あ、待って死ぬ……今のでだいぶ脳が揺れた無理……
ガンガン痛む頭に小さく縮こまると片桐さんは肘置きの部分に腰かけた
立たなきゃいけないのに立てない辛さ。
泣きそー……


「３８はかたいぜ」

「バカチンが」

「あっ今ちょっと元気になりました……」

「なわけねぇだろ」


辛辣。相良さん辛辣。
スカートの下はいつも短パンを履いているしなんの気兼ねもなく丸まるように寝かせて貰っているとフワリと何かがかけられる
薄く目を開けると、滅多に見れない長ランを着ていない片桐さん



その時は寝落ちしてしまったが、後々 思い出すたび死にかけてる

顔と目 (軟高)→←犬と犬は結構仲良し (相良)

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