10話 ページ10
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「_______ハァッ、ハ、ッハア……！！」
足をとられる雪を振り払いながら、走る。
夜の森は危険で、数メートル先も分からない。けれど日々通る道を体は覚えていて、迷うことなく町に着くとすっかり静まり返った風景が目に飛び込んでくる。
それら全部無視して、とにかく走った。
港へ、港へ。
_______「今から行く気ですか！？もういませんって！」
_______「それに夜は、ローさん！」
二人の静止も振り切ってろくな防寒もしないまま走り続けているせいか、体は熱いのに喉と肺が寒さのせいで突き刺すような痛みを感じる。
昼に出港したなら、もういないことは分かっている。
それでも、それでも。
「ハッ、ハァ、うわっ！」
道を整えるレンガの隙間に足を引っ掛けて、盛大にすっ転んでしまった。ズシャ！と服と地面が擦れて、膝も恐らく擦りむいている。それでも止められない衝動のままに、走る。
自分で吐いた白い息が頬を撫でて、後方へ流れて消えていく。精一杯開く足はそれでも長さが足りなくて、港までの距離がまるで千里の道のように感じた。
それでも、それでも。
何故ここまで走るのか。自分でもその理由は分からない。
もしかしたらフレバンスに一度観光に来て、そのときに知っただけなのかもしれない。もしもの話はたくさんある。
期待するだけ無駄だと、おれはあの日を通して知ったのに。
それでも走るのを止められない。
だって、だって！！
_______「聞いて、お兄様！ラミ、お友達が出来たの！」
_______「父様でも治せなかった病気なら、長くないんだ。分かるだろ、ラミ」
_______「ずいぶん前に死んだお母さんに教わった思い出の歌って言ってましたね」
「ハァ、ハ、ゼェ」
肩で息をして、真っ黒な海と夜闇を掻き分けるように目を凝らして探す。何処かに灯りはないか、船の揺れる影は。
けれどそんなもの何処にもなくて、ただ無意味に吐き出しては消えていく白い息。手はかじかんで震えているし、怪我をしているであろう膝の痛みもどんどん増している。
それでも諦めきれなくて、鼻がツンと痛んでも、視界がボヤけても、港の端から端まで走り回って探し続けた。
もし、万が一おれと同じなら、きっと珀鉛病で苦しんでる。おれにはコラさんとオペオペの実がある。だから今も問題なく生きてる。
でも、そんな奇跡が万人に訪れるほど優しい世界ではないと、おれは知っているから。
「どこだよ……っどこだよ！なァ！！！」
ヴォルフ達が迎えに来るまでおれは、いないと分かっている海から目が離せなかった。
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雅榴(プロフ) - 翠さん» 多分、どうせ年内には作るんだよなぁと開き直ったので尻叩きに予告してしまいました笑 休息も兼ねますので多少時間はかかりますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 時雨さん» 休息も兼ねてゆっくり考えようかなと思っているので、気長にお待ち頂けると嬉しいです〜！ご期待に添えるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page42 id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - なんと…！続編も…！！最高です、本当にありがとうございます。体調にはお気をつけて。また！ (2023年2月5日 16時) (レス) id: 64131c5e87 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 続編ありがとうございます🙏最高です；；！この後どんな展開になるのかとても楽しみです！これからも応援しています。 (2023年2月5日 13時) (レス) @page42 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - チックタックさん» ありがたいお言葉をありがとうございます！続編はうっすら考えてはいるものの、そもそも作るかを悩んでいるのでそう言って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年1月31日 12時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
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