9話 ページ9
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その日の夜。珍しく静かに晩飯を食べていたシャチとペンギン。風呂も入っても眠れないらしい二人が、リビングでこそこそしていた。
「あいつ、連絡すると思うか？」
「……あの親父さんの娘だからな……」
「ぶっちゃけ、マメな性格ってわけではないもんな」
「ここ数年でおれたちの口の悪さも移っちゃったしな……」
「誰の話だ？」
「「ウォアアア！！」」
雄叫びみたいな絶叫をあげた二人は、どうやら全く近寄るおれに気づいていなかったらしく。うるささに眉を寄せれば慌てて謝り出す。鬱陶しくて適当にいなしておれの席に座れば、先ほどまでの軽快な会話は途切れてしまった。
「いや、ローさんが気にするような奴じゃないですよ。ローさんと出会う前に知り合った友達なんです」
「この島に、おれたちと同じくらいのやつがもう一人いたんです。つっても今日の昼に迎えが来て、旅立っちゃいましたけど」
「へェ」
こんな島に一人でいたらしいから同じ訳ありかと思えば、迎えにくる存在がいる。なら、観光気分でここに訪れたような奴なんだろう。
途端に興味をなくしたのでその後の話はおざなりな相槌を打ち続けていると、呆れた顔をした二人が話を止める。時計を見れば、もうすっかり寝る時間だ。
「おれらはもう寝ますけど、ローさんはどうします？」
「……まあ、ベッドには入るか」
「もし眠れなかったら、子守唄歌ってあげますよ」
「何が悲しくて野郎の歌で寝なきゃならねェんだ」
「ていうか何だよ、子守唄って！おれ知らねェぞ」
曰く、旅立った友達に聞いた歌なのだとか。今は亡き母から教わった思い出の歌で、歌詞は知らないが音だけでもと覚えて歌ってもらったものを、ペンギンは勝手に覚えたらしい。
「確か序盤のメロディは……_______」
は？
「ローさん？」
硬直したおれに問いかけるシャチ。気付かないまま歌うペンギン。おれはただ、目を見開いてその歌に聞き入っていた。
静かな声と共に紡がれた歌は、おれにとっても懐かしく愛おしい記憶を掘り起こすには十分過ぎるものだった。
あやふやで、音程も少し外れている。けれどそのメロディは、音の流れは、確かにあの日々の中にあったもの。
母様に歌をねだるラミ。苦笑した母様が、おれを誘う。そして、三人一緒のベッドに入って、そこで聞くんだ。
故郷の、フレバンスの、子守唄を。
「それを教えたのは、どんな奴だ！！！」
_____________________
「Aは本当に子守唄が上手だね」
「当たり前だよ、母様に教えてもらったからね」
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雅榴(プロフ) - 翠さん» 多分、どうせ年内には作るんだよなぁと開き直ったので尻叩きに予告してしまいました笑 休息も兼ねますので多少時間はかかりますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 時雨さん» 休息も兼ねてゆっくり考えようかなと思っているので、気長にお待ち頂けると嬉しいです〜！ご期待に添えるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page42 id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - なんと…！続編も…！！最高です、本当にありがとうございます。体調にはお気をつけて。また！ (2023年2月5日 16時) (レス) id: 64131c5e87 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 続編ありがとうございます🙏最高です；；！この後どんな展開になるのかとても楽しみです！これからも応援しています。 (2023年2月5日 13時) (レス) @page42 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - チックタックさん» ありがたいお言葉をありがとうございます！続編はうっすら考えてはいるものの、そもそも作るかを悩んでいるのでそう言って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年1月31日 12時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
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