29話 ページ29
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「今日は仕入れも無いし、ゆっくりしておいで」
「うーーん……この島にピアノも無いし観光は昨日終わらせたから、今日は船の掃除してるね」
「キャプテン、次行く島どうします？」
「頭痛薬がねェ。ここでとりあえず探すが、どっかありそうな島探しとけ」
「アイアイキャプテン！」
さっさと船へ戻っていく仲間を見送って、とりあえず人が集まっていそうな方へと歩き出す。
それなりに大きい市場があるものの、食料や衣服ばかりであまり当てにならない。
その島特有という薬の専門店は大抵うさんくさいので病院から買い取る場合もあるが、ここの島はそこまで栄えているわけではないので病院の規模も知れている。薬か漢方を扱う商人を探すことに。
それとなくピアノを探したが、この島には無いらしい。弾いてくれれば見つけやすいと言うものだが。ペンギンの憶測では、記事にされたせいで引っ込んだ可能性があると。
商売自体控えめになったのか、目立つ傭兵のような商人の話も聞かなくなった。本格的に足取りすら追うことも難しくなっている。
「…………チッ！」
口から突いて出そうになった名前を舌打ちで誤魔化す。ペンギンやシャチに聞いて知ったその名前はおれにとって特別な意味を持つが、一度として呼んだことはない。
誰もいない虚空に名を呼ぶことの虚しさは、よく知っている。
顔を思い出そうにもあの紙面に映る微動だにしない笑顔ばかりで、まるで生きている気はしない。これなら新聞など見ない方が良かった。以前ならば、あの日水平線の上に立って生きている姿を思い出していたから。
考え事をしていたせいか、気付けば人はすっかり減って心なしか薄暗い道へ辿り着いた。おれ達が停める港の反対側の港が見えるので、恐らく反対側まで歩いてきてしまったのだろう。
治安は悪かねェが、かといって信用出来そうな商人がいるとは思えない。そう思って、引き返そうとした刹那。
「おや？いつかに見た顔だね」
「あ？……ッ！！？」
「待ってくれよ、思い出す。顔を覚えるのは得意なんだ」
数拍置いて、おれの名を当てた男。最近は賞金も上がっていたからそれ絡みかと凄んだが、顔を見た瞬間霧散した。
「君は、あの人のお墓にいた男の子だね？確か海賊になったんだったか」
商人らしからぬ分厚い体と漂う威圧。
あいつの、父親だ。
思わず目を見開いてすぐに周辺を見まわせば、咎められる。
「あの子は今はいないよ。……まだ会う気だったのか」
ボソリと呟かれたその言葉に、いつかのように睨み上げた。
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雅榴(プロフ) - 翠さん» 多分、どうせ年内には作るんだよなぁと開き直ったので尻叩きに予告してしまいました笑 休息も兼ねますので多少時間はかかりますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 時雨さん» 休息も兼ねてゆっくり考えようかなと思っているので、気長にお待ち頂けると嬉しいです〜！ご期待に添えるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page42 id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - なんと…！続編も…！！最高です、本当にありがとうございます。体調にはお気をつけて。また！ (2023年2月5日 16時) (レス) id: 64131c5e87 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 続編ありがとうございます🙏最高です；；！この後どんな展開になるのかとても楽しみです！これからも応援しています。 (2023年2月5日 13時) (レス) @page42 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - チックタックさん» ありがたいお言葉をありがとうございます！続編はうっすら考えてはいるものの、そもそも作るかを悩んでいるのでそう言って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年1月31日 12時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
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