17話 ページ17
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おれ達はもうすぐ海に出る。
それを少しだけ延期にしたのは、どうしても一目見ることを諦めきれなかったからだ。
この三年、機会にして三度。連絡だけなら数十回。
あまりまめに連絡をしない性質らしい相手が電話した時に限ってベポしかいない。駆け付けてもギリギリ間に合わないことばかりで、フラストレーションは溜まる一方だ。
基本は仕事があるので後手に回るのだが、今年は違う。
事情を話したベポに、連絡が来たときに次いつ来るかを聞き出してもらったのだ。
その日に合わせて休みを取り、シャチに教えてもらった墓の前で待つ。完璧だ。
ガサガサと背後の茂みから足音がして、ドクンと高鳴った鼓動のままに振り返る。
「お……ッ！！？」
「おや、珍しい先客だ」
おれと同じくらいの女、ではなく、二メートルはある筋骨隆々な男が、白い花束を持って立っていた。
ドフラミンゴのところで大きな奴には慣れているが、この島で見かけるにはあまりにも場違いな威圧感。思わず生唾を飲むと、緊張感が伝わったのか男は存外朗らかに笑う。
「何もしないよ、君の後ろにあるお墓へのプレゼントを渡したいんだ」
「墓……ってことは、あんた」
この墓は、会ったこともない奴の母親の墓。なら、何度か聞いた商人の父親とは、この男のことだろうか。
…………本当に商人か？傭兵じゃなくて？
「あの子の友達かい？」
「……友達ではねェけど、会ってみたいんだ。会わせてくれよ」
「君がフレバンスの悲劇を話さないならね」
「！！」
墓に花を添えて背を向ける男。悲劇とは言わずともフレバンスのことを話したかったおれにとって、それは図星だ。
というか、こいつ。
「おれを知ってるのか」
「トラファルガーさんのとこの息子さんだろう？妻がお世話になったお医者様の家族構成くらいは覚えているさ、商人だからね」
いかつい見た目に似合わない穏やかな目が、肩越しにおれを見つめる。その視線を外さずにおれの目の前に座り込んだ。
「あの子にはね、フレバンスのことを伝えていないんだ。
……知らなくていい、知ってほしくない」
「っ知らない！？あれだけ派手に新聞に載ってただろ！」
「遮断してる。徹底的にね」
困ったように笑う男は、恐らく己のエゴを自覚している。それでも今の今まで隠し続けてきたなら、これからもそうする気なんだろう。
「……美しいまま覚えていて欲しいんだ」
嗚呼、おれには到底受け入れられない、身勝手さ。
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雅榴(プロフ) - 翠さん» 多分、どうせ年内には作るんだよなぁと開き直ったので尻叩きに予告してしまいました笑 休息も兼ねますので多少時間はかかりますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 時雨さん» 休息も兼ねてゆっくり考えようかなと思っているので、気長にお待ち頂けると嬉しいです〜！ご期待に添えるよう頑張ります、コメントありがとうございました！ (2023年2月5日 18時) (レス) @page42 id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - なんと…！続編も…！！最高です、本当にありがとうございます。体調にはお気をつけて。また！ (2023年2月5日 16時) (レス) id: 64131c5e87 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 続編ありがとうございます🙏最高です；；！この後どんな展開になるのかとても楽しみです！これからも応援しています。 (2023年2月5日 13時) (レス) @page42 id: dee2fbc24a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - チックタックさん» ありがたいお言葉をありがとうございます！続編はうっすら考えてはいるものの、そもそも作るかを悩んでいるのでそう言って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2023年1月31日 12時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
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