【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ5)

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5話ページ5

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「ほら立ってA！そんなんじゃ、すぐ死ぬよ」

「ぜぇ、ぜぇ、ま、待って、くいなちゃ、げほ」

「待たない！」

息も絶え絶えなAと痺れを切らすくいな。
あまりにも運動音痴でとうとう見ていられなくなったくいなが、修行時間を削って一緒に外周しているらしかった。

道場はそれなりに大きいが普段のトレーニングメニューにも外周は何十周とあるので、くいなは慣れているが道場の掃除やサポートばかりで参加したことのないアイツにはキツイらしい。

従兄弟のくいなに比べてあまりにも弱々しくて、生きていけるのか不安になった。

「おまえ本当にダメなんだな」

「あ、ゾロも言ってよ！情けないし弱すぎって！」

「う"っ！！」

「既にくいなが言ってんじゃねェか」

またしょげて『の』の字を書き始めた。へこむ時の癖らしいがその背中の哀愁は何故か少し苦手だ。
また慌ててくいなが謝り慰めて、渋々立ち上がるAの流れはこれまで何度も見た。Aはちょっと打たれ弱すぎる。もう少し強くなれないのか、こいつ。

「考えてること分かってるからねゾロくん！
君たちじゃなくて私が普通なの！！」

「それはねェ」

「う"っっ！！」

「ちょっとゾロ！
やっと立ち直ったのに、本当のこと言わないでよ！」

「すみません……」

「とどめ刺してるのはくいなだろ！！」

またへこんでしまったAが『の』の字を書き、取っ組み合いの喧嘩をするおれとくいなを騒ぎを聞きつけた先生が取り押さえた。

落ち込んだまま帰っていったAに謝れなかったおれとくいなに、先生が少しのお小遣いをくれた。

「このお金で、明日あの子とお出かけしてくるといい。
明日の特訓はお休みということにしておくから、あの子のやりたいことや好きなことを一緒にしてきなさい」

よく分からないまま受けとったお金を握りしめて、くいなと顔を見合わせる。

そういえば、あいつが何故この道場に来るのか。
その問いは分からないままだったと思い出した。