【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ32)

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32話ページ32

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バカ見てェに騒がしいオカマからの電伝虫は船を持ってったという連絡。元々今夜出るつもりではあったし、日に日に増えていく海軍もアラバスタ周辺を彷徨いている。
潮時だと支度しておいた荷物を持ち、日差しを遮るマントを羽織る。

一味が素早く準備していく様子を見つめるビビの隣で、穏やかに笑っているA。
おれが問いかける前にルフィが口を開いた。

「もう良いのか？」

「え？」

「もう、おれたちの船に乗らなくても良いのか」

真っ直ぐ見つめるルフィに戸惑い、そしてはにかんだ。

「ありがとう、ルフィさん」

「にしししっ！気にすんな！また一緒に冒険しよう！」

「はい！」

「そ、そんな……！！！レディが！！」

「バカね、元々Aは同行者でしょ。
むしろここで降りるのが正解よ」

大袈裟なくらいショックを受けるコックに呆れるナミ。チョッパーやウソップが唐突な別れに惜しむ中、その様子に心底嬉しいと微笑むもんだから何も言えなくなった。
後頭部を荒く掻いて自分の左耳に触れる。三つ連なる金のピアスの一つを外し、Aの手に乗せた。

「付けとけ」

「え」

「それ付けとけば多少マシになるだろ」

何が……？と漏れ出たような小さな声を無視して、頭を抑えるようにぐりぐり撫でる。見たところ耳に穴を開けてはいないらしいが、何とでもなるだろう。

この３日で今までの話を聞いたが、男絡みが明らかに多かったので男物のピアス付けてりゃマシになるだろ。どうせその内賞金首にもなるんだ、同じ物だと気付かれりゃ更に効力は増すだろうしな。

「返すのは次会った時でいい」

「え、ちょ」

「受け取っときなさい。あんたちょっと危機感ないし」

「きっ！？あるよ！？」

「クソマリモのピアスってのはムカつくがしょうがねェ」

「にしし！ゾロは心配症だな」

「しゃあねェよルフィ、Aだからな」

「うんうん」

「え、ええ……」

ウソップやチョッパーにまで頷かれて少しへこんだらしいが、一理あるとも理解したのか手のひらでピアスを小さく転がしながら見ていた。

「またな」

「……またね、ゾロくん」

少し不服げだがしっかり返された言葉に、ニッと笑って見せた。