【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ26)

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26話ページ26

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「……刀、ごめんね」

「…………気にすんな。
おまえのアレは今に始まったことじゃねェだろ」

「う"っ！！」

「だからいちいちへこむな！！」

胸を押さえてまたションボリするA。おれとA以外全員出て行った後だから良かったが、ナミがいようもんなら引っ叩かれていただろう。
海に出てそれなりに経っているはずなのに、どうしてこうも変わらないのか不思議なくらいだ。

壁に突き刺さるという無茶な扱いをされた刀に刃こぼれ等が無いか確認しつつ、隣の一歩離れたところで座り込むAに目を向ける。

「おまえ、今までどうしてきたんだ」

「基本は逃げて、どうしてもって時は人を雇ってた」

逃げ足は叔父さんのお墨付き、とドヤ顔しているがそれが無ければとっくの昔に死んでいただろう。
先生の心労の一端が見えた気がした。そりゃ浮かない顔もする。どうも危機感が薄い気がして島を出る前から浮かんでいた疑問を口にする。

「……なんで海に出たんだ」

「え」

「確かに逃げ足はピカイチだが、そもそも海に出なければ命の危険も少ねえ。戦闘センスのなさも自覚してただろ」

刀を鞘に収めて横目に問えば、少しポカンとした顔。
浮かんで当然の疑問だろうし、この間から時々その顔をするのが気になる。その顔のまま前を向いて、ポツリと呟いた。

「聞かれると、思ってなかった」

「はァ？」

「ゾロ、くんは……ああ、いや、えっと……」

歯切れの悪い様子と所在なさげに揺れる視線。
俯いて顔が髪に隠される。遠い昔の困り果てた様子と似ているが、何をどこまで語れば良いのか迷い、思い詰めているように見える。

そんな顔をさせたくて聞いたわけではなかった。

「言い辛いことを聞く気はねェよ」

「そういうわけでは、ないんだけど」

「……最後にひとつだけ聞いていいか」

「え？うん」

キョトンとした顔でこちらを見つめるA。
刀を傍に置いてその目を真っ直ぐ見つめ返せば、Aは戸惑ったように視線を逸らし、そろそろとまた視線を交わらせる。
その様子に眉を寄せそうになったが、今この状況でそれをしても怯えられるだけなのでグッと抑えた。

意を決して、やけに乾いた口を開く。

「……おれはもう、おまえの隣には行けねえか」

「……………………………………は？」

「あ？…………あ？？」

おれは今、なんて言った？