【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ22)

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22話ページ22

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相も変わらず騒々しい旅路。荒波に揉まれ、敵に囲まれ追われるのはいつものこと。ナミよりも戦闘に馴染みがないAはいつも(ナミやウソップと絶叫しながら)器用に逃げ回り、間違っても前線に出るような立ち回りはしなかった。

ルフィ達も元々は海賊として乗っているわけではないと承知の上だ。うるせェクソコックを筆頭に全員で守っている。

おれがわざわざ前線から下がらずに済む仲間がいるのはずいぶん楽だったが、絶叫が聞こえると反射でその場から飛び出しては後々ナミに小言をくらってしまう。
昔っからの名残で、自分でも厄介だと思ってしまう癖だ(直す気はないのでまた引っ叩かれるだろう)。

色々あり過ぎたアラバスタでの戦いは、同じ船に乗る以上巻き込まないと言う選択肢はない。
せめてどこかの国で一時的な保護をしてもらえればよかったんだが、戻るだけの余裕が今後生まれるかと言われれば保証できない。何よりルフィが猛烈に拒否したので出来なかった。

「どうしてよ！
チョッパーの国はもう安全だし海賊にも抵抗出来る国よ、これ以上ないほど良い場所だわ！」

「ダメだ！まだ降ろさねェ！」

「これから行く先に比べたら、よっぽど平和だと思うわ。
せめて彼女だけでも」

「まだだ！まだ、その時じゃねェ。
Aは戦えねェけどおれたちが守るし、逃げられる。
だから大丈夫だ」

「あんたねェ！」

ビビやナミにも頑として譲らなかった。
これから行くアラバスタという戦地は、Aが何より避けて通ってきたであろう環境だ。
しかしアラバスタの現状を知り、少なからず足を突っ込んだまま放置という選択を出来るほど冷酷な奴でもない。

「良いのかい？怖いんだろう」

「怖い……けど」

クソコックに気遣われながら、それでもAはアラバスタに来た。中途半端な覚悟なら縛ってでも置いていくつもりだったが、終わるまで絶対に弱音を吐かなかったのでおれも何も言わなかった。

出来ることは限られていると分かっていても、足を引っ張ると知っていても、せめて見届けたいとエゴに満ちた理由。身体を恐怖で震えさせながら、それでも懸命に駆け抜けた。

「なんで私まで踊り子に……！？」

「お淑やかなAちゃんの踊り子姿も最高だァ〜〜！」

「いいかチョッパー、あれが変態だ」

「なるほど」

「海賊の船に乗る女が純情ぶってんじゃないわよ」

「海賊じゃないのに！！？」

……時々突っ込みたくはなったが。