【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ12)

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12話ページ12

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「ゾロ！！大変だ！！くいなが！！

家の階段で転んで……死んだ！！！」

約束をした、次の日だった。
朝道場に来たら、開口一番これだった。

くいなを見るまで信じられなくて、信じたくなくて。
顔に白い布をかぶせられたくいなを見て初めて現実だと理解した。

「お前きのうおれと約束したじゃねェかよ！！
逃げんのかよ、くいなァ！！！」

「おい、ゾロよせ！！」

いつものくいなの憎まれ口も何も返ってこない。
眠るように横たわるくいな。その顔は見えないが、普段の快活さが嘘のように静かな様子に、返事を求めることを諦める他なかった。

「人間は……なんて脆いんだろうね……ゾロ」

不思議と、先生のその言葉が脳内で反響した。

人は、脆い。
あんなにも強かったくいなが、階段から落ちたくらいで死んでしまうほどに。

_______それなら、運動が出来ないAは。

「……先生っ！！あいつの刀、おれにくれよ！！」

「…………ああ、いいとも」

「_______おれ、あいつのぶんも強くなるから！！！
天国までおれの名前が届くように、世界一強い大剣豪になるからさ！！！！」

ぼろぼろ流れる涙がようやく止まった頃、初めてAの姿を見かけていないことに気付いた。

くいなを弔う大人たちの間をすり抜けてあいつを探す。
Aはくいなと道場で一番仲が良かったし、時折先生とくいなの家に泊まったりもしている。
もしかしたら、くいなの死に目に遭遇して更に強いショックを受けているかもしれない。

まだ少し涙の跡がある先生に聞こうかと思ったが、忙しそうだから声をかけずに道場を出る。

少し歩くことも考えたが、道場の入り口すぐのところでうずくまっていて流石に驚いた。顔は伏せられていて見えないが、肩が震えていないことに少し安堵した。

「……」

「……」

何を言おうとしたんだったか。
そもそもおれは泣いているかと心配して探そうとしたわけで、こんなにも近くにいるなら、確認したいことはできたわけで。

それでもなんとなく、離れてはいけない気がして。
今立っている場所から反対側のAの隣に回って、同じように座り込んだ。