八話 ページ8
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『ファンタジア』は、ウタの言うような作品ではない。
むしろその真逆なのだ。
歌では何も変えられない、結局は娯楽に過ぎないのだと悟った主人公が最後には歌を辞めてしまう。けれど長い物語の中で出会った仲間達と共に過ごしていく、もう孤独ではない。
連載当時の私が勝手に世間に失望して決めた結末。きっと間違ってはいないのだろうけど、正しくもない。
だって、あり得ないじゃないか。たかが歌だ。そんなもので虐げられる現実が変わり、悪人が改心するなんて夢物語でも嘘くさい。
けれど、それを本気で叶えようとするウタが、嘘くさいわけがない。そしてそんなウタが凄いと言ってくれたこの物語。くだらなくても、バカみたいでも、彼女が信じた主人公のままに終わらせてあげたい。
……まあ、一度捻くれて書いてしまったので、なかなか軌道修正が難しいんだけど。
それでも、まっすぐなまま夢を描く主人公をと、思っていたのに。
「もう一度言って、ウタ」
「……」
「どうしてあなたの部屋にネズキノコがあるの？」
「…………」
「ウタ！！」
肩を掴んで揺さぶっても、ウタは唇を食いしばって答えない。
事の発端は、私がウタの部屋で偶然ネズキノコを見つけたことだ。それが強い毒性を持っていて、ウタにキノコ採集の趣味もない。不思議に思って聞けばライブで使うのだと。
_______ウタワールドに観客を引き入れて、そのままにするために。
「今回のライブで何をする気なの」
「……もう、決めたことだから」
ウタが顔を上げた。眉を下げて、無理矢理持ち上げた口角。仄暗い瞳は私じゃないものを見ている。
あの日、私が初めてウタの配信を見た日とは違う。
キラキラ光って、驚くほど純真な目で世界を見る目ではない。皆の期待に応えようと研鑽を積むまっすぐさが、見失われている。
「みんなの夢が、私の願い」
「私の夢が、みんなの願い」
_______だから、こうすることが正しいんだ。
不意に思い出す。ウタのファンが送ってくれた応援メッセージ。嬉しそうに見せてくれた数ある中で、彼らがウタに縋るような目を向けていたことを。
ウタは、その偏った言葉を通して世界を見ていたことを。
「それは違う！ウタ、もっと色んなものを見よう。�狄有瓩鮹里蹐Α�今ならまだ」
「違わない！みんなが言った！私に助けて欲しいって！海賊のいない世界が欲しい、私の歌をずっと聞いていたいって！！」
「違う、違うんだよ、それは」
彼らは、�狎ご岫瓩蓮¬祇嫻い覆鵑世茵�
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雅榴(プロフ) - 樹乃さん» かなり前の作品なのに、見つけてくださってありがとうございます。何も気にせず、ひたすら書きたいものだけ書いた作品なのでとても拙いものですが、そう言って頂けて嬉しいです。コメントありがとうございました！ (10月28日 21時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
樹乃(プロフ) - あぁあ…！切ないですね、とても良いお話だと思います。最期、ウタちゃんと夢主が少しでも会話できたら良かったんですけどね… (10月28日 18時) (レス) @page16 id: df66a330f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅榴
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Miraku/
作成日時：2023年5月2日 14時
