番外編�� ページ45
(ヤキモチの話)
下品な大笑いに、止まない乾杯の音。足早に周囲を駆け回るウェイターのこめかみには汗が流れている。目の前には売り手として目を引くためか、めかしこんで露出の多い女と、上等の酒。
ゾロが女には目もくれずその酒に手を伸ばした刹那、くんっ、と下手すれば気付かない程度の引っ掛かりがその手を止めさせた。
「……」
「……っ」
顔に手を当て、天を仰ぐゾロ。酒場のカウンターで酒を飲んでいたゾロの隣にいた彼女が、彼の服の裾を小さく引っ張ったのだ。
すぐに向き直って小さな体を抱き締めれば、胸元に響く満足気にくふくふと笑う声と共に背に手が回される。ゾロはまた唇を食いしばった。
以前ならば、彼女はあまりゾロを縛ることをしなかった。
どこへ行くのも何をするのも、決して縛らず詮索もしない。いってらっしゃいとひらひら手を振るのだ。
縛られるのは好きではないし、気楽なのでそれでも構わなかったが、少しムッとしてしまうときがあったのも事実で。
とはいえ、いちいち言うのも変だろうと黙っていたゾロ。
行く先に女がいようとも興味のカケラもなかったし、過剰に突かれるよりはマシだ。しかしゾロは彼女の行く先に男がいれば気になるし、場合によっては行かせない。
だから余計に、自分だけかと思っていたのだが。
「……おれは酒をとりたいんだが、嫌か」
「…………分かってるけど、ちょっと」
あ"ーーーーー。
キュッと唇を噛んで衝動を抑え、わしゃわしゃとその頭を撫でて解放する。慣れない行動は恥ずかしいのか照れくさそうな顔をしているが、ゾロがもう先ほどの酒の方を見なくなったので安堵を滲ませる。
遠い昔は、二つ年上だからとお姉さんぶることが多かったし、事実ゾロは世話を焼かれる側だった。
そんな彼女が、幼気だが確かな女としての独占欲を覗かせる表情。
もちろん真正面にいるゾロが気づかないわけもなく。
あ"ーーーーーーーーー。
「……出るぞ」
「えっ」
「船には道中連絡しとけ」
「な、なにを」
「"今日は帰らねェ"」
「エッッ」
困惑と照れが混じった顔のAは、どこにそのスイッチがあったのか分からないまま。ぐるぐる考えるうちに連絡は済まされ、適当な宿へ連れ込まれて行った。
柄ではないしわざわざ言おうとも思わないが、ゾロが唇を噛んだりため息を吐いたり、何かを耐えるような顔をしているとき。
それは大抵、「かわいい」と思っているときだったりする。
まあ、彼女の知るところではないけれど。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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