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116話 ページ5




奉公先もなんとか見つけ、収入に関する心配は無くなった。多くはなくとも収入があるのとないのとでは精神的な安定が違ってくるものである。

奉公先はとある道場。同士である浪人さんに融通を利かせてもらった場所だ。いわゆる寺子屋の役割も果たしつつ、剣術も教えている。その際に子ども達の手当てや面倒を見る仕事をしているのでなんだかとても懐かしい気分になるのは致し方ないと思う。


「姉ちゃん、姉ちゃん!手当して」

「そっちいくから、走らないの。傷口開くよ」

「痛くないから大丈夫!」


既視感のある元気な子ども達と戯れつつ仕事をこなし、家に帰るとゾロくんはいなかった。多分迷子だ。

そのうち勝手に帰ってくるので特に心配もせず、夜ご飯の準備に入る。挙げていた髪を下ろして手鏡で適当に整えていると、鏡面が揺らめいた。


_______ピチョンと、三つ。


ゆらゆら動く鏡は、今朝のように様相を変えていく。
目の前にいる私も、映っているはずの何もかもが朧げになり、搔き消え、色と色が混ざり合うようにして顔を変えていく。

曰く付きはことは承知していた。けれど、流石にこれは気味が悪い。今後、強大な敵と戦うことを考えるとこういった無意味な懸念材料は潰しておくべきだろう。

淡い桃のような色味を気に入っていたから、少し残念だと思いつつ手鏡を手にしたとき、鏡がはっきりと何かを映し出した。


「…………え?」


瞠目し、心臓に微かな寒風が通るような感覚。
驚愕のあまりこぼれ落ちた言葉に意味はなく、脳がそれを理解した瞬間から手が小刻みに震え始めた。


「な、んで」


意図せず震える声。鮮明に映す鏡は相変わらず私を映さず、この世界にあるはずのない景色(、、、、、、、、、)を映していた。


微かな傷や鉛筆の跡が残る学習机。そこに並ぶ参考書と添えられた写真立て。使い古した黒のリュックがくたりと机にもたれかかっている。丁寧にメーキングされたベッド。ねだりにねだってようやく買ってもらえた淡い水色のカーペット。


「なんで、なんで今更……っ!!」




_______揺らめく鏡が映したのは、前世の私室(、、、、、)だった。



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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜!👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました!コメントもありがとうございました! (2022年12月13日 16時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです!元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます! (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます!とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです!長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました!(*´∀`*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜!楽しんで頂けたなら何よりです!次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜! (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています!╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雅榴 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2022年10月7日 18時

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