137話 ページ26
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何処か不慣れな、遠慮の滲む大きな手が頭を撫でる感覚。
伝わる温もりに目を開けると、私を覗き込む目と目が合った。
「大丈夫かい？つらいね、くるしいね。今に薬を持ってくるから」
高い熱に魘されて、息を吐くたびに喉に熱が籠る。
頭を動かすことすら億劫なことを知っている男は、頭を動かさないよう優しく優しく撫でている。
一晩中、異変が起きても対処出来るようにとずっとそばで様子を見守ってくれていた。
布団に身を沈ませていた私を抱き抱える腕。かろうじて上を向くと心配そうな温和な目と視線が交じり、眉を下げて笑う。
汗を拭いて着替えさせるために暖かいタオルを持って、ソッと額を拭ってくれた。程よい温度が心地よく、力を抜いて身を預けるとその腕に優しい力がこめられる。
「汗を拭いたら、ごはんにしましょうね」
つられて思い出す、とろとろで優しい味のお粥。
上手くスプーンを持てない私に、既視感のある困り眉の笑顔で食べさせてくれたのだ。
時の流れと共に埋もれていった記憶。
熱を出して苦しむ私を必死で看病して、二人が買いに行った薬だけが家に帰ってきた。
ああそうだ。今世の両親の記憶で、夢だ。
夢を見た。
両親の夢を見た。
私を愛した両親の、夢を見た。
もういない両親。いたという実感すらない私の家族。
だからこそ私にとっての親は前世の両親であり、私がこの世界に生まれたという理解が乏しかった。
必要とされて、生まれてきたのだと、思えなかった。
叔父さんやおじいちゃんから聞いた両親の話には、必ずどこかで私の存在があった。流石に馴れ初めや生まれる前の話にはいなかったけれど、いつだって二人は教えてくれていたのだ。
それでも実感しなければ、やはりそれは他人事で。
夢を見た。
私を必要とする両親の、夢を見た。
生まれたばかりの私を、泣きながら抱き上げる母の夢。
おくるみに包まれてむずがる私に、愛おしげに微笑む父の夢。
_______「生まれてきてくれて、ありがとう」
確かに聞いた。
記憶の奥底に眠って、私ですら忘れていた存在証明。
正史となる元のストーリーにはいない私は、異端であることに変わりはないのだろう。
けれど、もしかしたら。
もしかしたら私は、他でもないこの世界に祝福されて、生まれたのだろうか。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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