118話 ページ7
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あの日以来、ふと時間があれば鏡を見るようになった。
そこに映る景色は、相変わらず前世の私室。だがその時々で季節や様相は変わるらしく、覚えのある模様替えをしていることが多い。見る度に記憶は日に日に増え、今や朧げだった両親や友達の顔も鮮明に思い出せる。
それに比例するように、ゾロくんがこちらをジッと見つめるようになった。何か言いたげな目は懐疑的で、問うても誤魔化すばかり。そのくせピタリとくっついて離れなくなり、奉公先にまで来ようとするのだから流石に少し困ってしまった。
「ねぇ、どうしたの？なんかおかしいよ」
「自覚がねェのか」
「何が？」
「……いや、無いならいい。おれから離れるな」
「ええ……」
傍若無人の一歩手前のようなワガママに、思わず苦笑が漏れた。うーん、今までにない事例だ。対処の仕方に迷ってしまう。
ただ一つ分かるのは、彼が私にまつわる何かを心配しているということ。自由行動を好むゾロくんがわざわざついてくるくらいだ。よっぽどだろうとあたりをつけて、奉公先に休むことを伝えて散策することに。
「休みなら酒買いに行くか」
「家にまだあるよ？」
「どうせ足りねェ、酒はいくらあってもいいもんだ」
「うーん、酒豪」
ゾロくんがお酒を選ぶ間、お店の人に船から見る桜が綺麗だと聞いたので船着き場へ。船に乗る前から見える木々が既に風情を感じさせる。
船は恐らく屋形船だ。結構お高いもののはずなのだが、躊躇いなく乗り込んでいくゾロくんは多分それを知らないんだろうなあと、苦笑を浮かべる。
散策程度なので一番近い行き先の船に乗り込み、早速お酒を煽り始めたゾロくんを尻目に景色を眺める。
ハラハラと落ちてくる花びらが乙なもので、淡い桃色が前世を彷彿とさせた。
「ヘェ、つまみもあるのか。Aもなんか食うか？」
「お腹空いてないから大丈夫」
すっかり上機嫌なゾロくんに微笑ましい気持ちになりながら、手のひらから飛んでいく桜を見送る。屋根を支える柱を避けながら絶え間なく舞い込む桜は、周囲の景色に木々が増える度に量と勢いが増す。
前世の祖国では桜が代表的な花。海外とは違う淡く色づく花々は私も好きだった。モチーフとしても可愛いし、春頃は桜の小物も多かったな。
懐かしさと花びらが鼻先を掠めていくくすぐったさに、思わず笑いが漏れたときだ。
一瞬、なだれ込む桜の奥で
瞠目し、反射的に手を伸ばそうとして_______横から掴み取られた。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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