あの日々を。 ページ47
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日も昇り切っていない早朝を、小さな緑の頭が軽い足音で駆け抜ける。
吐き出される小さな吐息は白く濁り、真っ赤な頬と鼻を撫でる風は冷たい。それでも負けじと走り抜けた先には見慣れた道場の入り口と、こちらに背を向けてほうきで門の前を掃除している背中。
マフラーや防寒着でモコモコのその背中が一度手を止めて空を見上げ、息を吐いた。その横顔が見えたとき、ハアハアと荒い呼吸を繰り返す小さな口がキュッと結ばれた。
「A！」
「！わ、ゾロくん。はやいね、特訓？」
「おう！くいなより強くなりてェから、先に来て特訓すんだ」
「残念。昨日道場に泊まったから、くいなちゃんはもう始めてるよ」
「何だよそれ！ズリィ！」
悔しそうに地団駄踏む姿に苦笑するAは、ゾロがろくな防寒をしていないことに気づいた。辛うじて長袖ではあるものの、真っ赤な頬や鼻が寒そうで、時折ズビッと鼻を啜る。
ほうきを塀に立てかけて、巻いていたマフラーを外す。そのままゾロの首に巻いてやった。されるがままのゾロは丸い目をぱちぱちと大きく瞬きさせた。
「寒くねェぞ」
「見てるこっちが寒くなるんだもん。鼻も真っ赤だし」
「ぎゃっ！」
戯けたように人差し指で鼻を突かれて、思わず大股で数歩後退し鼻を抑える。その様子にケラケラ笑う彼女は再度ほうきを持って、舞い落ちる落ち葉を集め始めた。
ブスッと拗ねた顔を晒しながらも素直にマフラーに顔を埋めれば、強く香る優しい彼女の匂い。
そりゃあこれはアイツのだし、と理解しつつも何故か一瞬で思い通りにならなくなった頭の中。早まる鼓動が一つ打ち鳴らされる度に、匂いが鼻腔をくすぐる度に、眩暈がする気分になって。
たまらなくなったゾロは、背中を見せる彼女に向かって思いっきりマフラーを投げつけた。
「っわ！え？」
「〜〜っガキ扱いすんな！！もうおれは9歳だぞ！！」
困惑する彼女を放って道場内に走り出す。
先ほどより強い足取りで駆け抜けて、素振りの音がする方へ。
荒々しい足音に気付いていたのか、素振りをやめて廊下のど真ん中で佇んでいたくいなが呆れた顔を見せる。
「もうちょっと落ち着けないの？足音がすごかったよ……ってどうしたの、ゾロ。そんなに寒かった？」
顔、真っ赤。
不躾にこちらを示す指先がたまらなく憎く感じて、ゾロはくいなの人差し指を叩いて落とした。
_______next 今日この頃は。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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