弐拾伍話 ページ25
，
ズバン！！
振り下ろされた斬撃は武装色を孕み、悪魔の実から生まれた鶴は体を大きく裂かれてひとたまりもなく空気に消えた。
「き、さまぁぁぁああああ！！！」
「あっははははは！！良い叫びだ！」
「う"ぎゃぁぁぁああああ！！」
足場を失ったカン十郎とモモの助が真っ逆さまに落ちて行く。それを凌ぐスピードで下降したAは恥も外聞もなく泣き叫ぶモモの助を抱きとめた。
大粒の涙を手早く拭い、努めて穏やかな笑顔を見せる。
「怖かったねぇ、よく頑張った」
「っ……っ！！う"っ！！」
これ以上声が漏れぬよう唇を食いしばって前後にブンブン頭を振るモモの助を抱き抱えてその顔が侍達に見えないように身体で守る。荒れ狂う海へと真っ逆さまに落ちていたカン十郎はとうに体制を立て直し新たな鶴を生み出している。
「寄越せ！！そこなガキは次代には邪魔な存在よ！」
「ンなわけないでしょ〜がよ！！」
彼女を拾ってくれた康イエは処刑される時に言った。
死に行く己の姿を、子に見せるなと。
大人にだって見慣れない公開処刑を子がどう捉えるかなど分からない。生涯の傷になることもある。
己の死は国を救うことへの一歩であり、幼気な子の心を傷付けるものではないと康イエは信じたのだ。
それは、重い期待を背負うこの子どもも同じだ。
恐怖に泣き叫びながらもその責務を全うしようと言葉だけでも足掻く子どもが不必要なものか。無為に傷つけて許されるものか。
そんな未来があるのなら私は_____エースは、こんな国守らない！
「この国に！世界に！！邪魔な子どもなんかいるわけね〜んだよ！！！」
彼女の足に纏われた覇気が一層濃くなる。歯を剥き出しにして威嚇するように唸って笑う彼女は咄嗟にモモの助を侍達のいるローの船へと投げた。
「うぎゃぁぁあああ！」
「モモの助様ぁ！！」
無事にキャッチされたことを横目に見届けた後、その場で体を丸めて縦回転。天高く伸ばされた足を振り上げぴたりと止まる。その目は、絵筆を構えるカン十郎に寸分違わず捉えていた。
「『嵐脚』_______
天を裂くような大きく黒い斬撃が、カン十郎に迫った。船の間を縫うように、その隙間の海に全身を着弾させるよう計算された斬撃はカン十郎のかわしきれない胴体ど真ん中を捉えていた。
「貴様ぁぁあああっ！！！」
「あははははははははははは！！」
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リエ - いえいえ、お忙しい中ありがとうございます！ご無理せず体調には気をつけてくださいね！ (2022年1月25日 18時) (
レス) id: 62560190e1 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - リエさん» コメントありがとうございました！ (2022年1月24日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - リエさん» コメントありがとうございます。少々私生活が忙しくなってしまったのと、戦いが始まってどう参戦するかで悩んでしまい更新できずにいました。もうしわけないです……_:(´ཀ`」 ∠): もうそろそろ落ち着いてきて更新しようと思っているので、もう少々お待ちください！ (2022年1月24日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
リエ - 更新楽しみに待ってます！ (2022年1月21日 23時) (レス) id: 62560190e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雅榴
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Miraku/
作成日時：2021年12月19日 20時
