59話 ページ9
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…………危なっかしい。
「……代わろうか、ジャブラ。いや代われ」
「あ?なんでだよ。……同情か!?」
「違うよ、うるさいなぁ。
君ら二人とも能力者だろ、足踏み外した時二人とも落ちたら同時に助けられる可能性が低いんだよ」
というのは建前で。
カクを抱えているのもあり、若干いつもより足元がおぼつかないジャブラ。彼の回復は早いが、骨まで焼き切れてるとなると話が違うんだろう。
勝手に推測して勝手に怒るジャブラに歩きながら軽く両手を差し伸べる。もちろん私とジャブラの怪我の差もあるが、ジャブラは負けず嫌いなので口には出さない。
ジャブラもそれを知りつつ、しかし私の言うことも事実なので、私が一旦立ち止まって膝を曲げると背中に一気に重みが。
「……むぅ」
「拗ねんなよ、カク!ガキか!ギャハハハハ!!」
「笑う元気あるならさっさと歩かんか!
Aも!こんな奴を甘やかすな!」
「君もだいぶ元気なようで」
二人して重症患者のくせに背後でギャーギャー言い合う二人に元気そうで何よりとため息を漏らす。
少し先で歩くカリファやブルーノに追いつくため、少しスピードを上げて歩く。
靴の中にはとうに海水が入ってきて、ビチャビチャだ。足がふやけちゃうな。
「あら、交代したの?」
「二人とも能力者だしね」
「……あぁ、そういうこと」
何がおかしいのかくすくす笑うカリファに不満気な気配を漂わせる背中のカク。女に背負われるのはプライド云々ってか。今はとやかく言ってる場合じゃないからカクも言わないんだろうけど。
「すまんな」
「いいよ、別に。昔を思い出すし」
「あんまり嬉しくないのぅ」
幼い頃はやはり、何でも今より上手くいかないことばかりで。怪我をしたら涙も滲んだし、動きに支障も出た。その度に、誰かが誰かを担いで部屋に帰るのが新人入りたての頃の風物詩みたいなもので、私もカクや他の子たちをよく抱えたり、抱えられた。
懐かしいなぁ
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雅榴(プロフ) - 由華さん» ありがたいお言葉をたくさんありがとうございます!随分前の作品にコメントして頂き嬉しいです。ワンピースは思い付いたら、程度なのでご期待に添えるか分かりませんが、出来る限り良い作品を作れるよう頑張ります!コメントありがとうございました! (2021年8月18日 22時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
由華(プロフ) - だきます!ワンピースの作者さんもう何年も活動されてない方がとても多いのでなんだかすごく嬉しかったです笑これからも無理のないよう更新していただけると助かります!! (2021年8月16日 17時) (レス) id: 26fc746bcc (このIDを非表示/違反報告)
由華(プロフ) - 今更この作品にたどり着きました…。何年も占ツクを愛用してますが、自らお気に入り登録したのはこの作品が初めてです。本当に号泣しました、とても良い作品に出逢わせていただいて感謝しかないです。雅榴さんはまだ活動されてるみたいなので、他の作品も楽しませていた (2021年8月16日 17時) (レス) id: 26fc746bcc (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 深海さん» 有り難いお言葉をありがとうございます!後半など楽しく書けた作品でしたので、そう言って頂けてとても嬉しいです。コメントありがとうございました、今後ともどうぞよろしくお願いします! (2020年2月25日 6時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 最高に最高でした…だめだ語彙力が失われていく…(( もう本当にこの作品を作ってくださってありがとうございます好きです… (2020年2月25日 3時) (レス) id: 442265d558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雅榴 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Miraku/
作成日時:2020年2月22日 0時