４１話 ページ41
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海に出て数年。俺は色々あったという言葉では留まらないくらいに激動の数年を過ごし、今や白ひげ海賊団の船に乗っていた。
悔いは無いし、後悔も無い。
俺が船長をしていた頃の仲間はみんな無事だし、オヤジの息子になれて、本当に良かったと思っている。毎日が楽しくて、騒がしくて、俺はこの船が大好きだ。
「迷子になるなよ、エース！」
「ならねェよ！」
背後から降りかかる声に返事をして、俺は上陸した島の大通りを駆け抜ける。
賑わう人に、並び立つ屋台からは良い匂いがして腹が鳴る。親と手をつなぐ子どもやボールを持って友達と駆け回る子ども。ふと、手を繋いで幸せそうに笑う男女を見かけて、なんとなくアイツを思い出す
今、何処にいるんだろうか。
俺と同じ年に出たはずだから、きっとこの海の何処かにいるはずだ。あの島からは遠い海に、俺はいると教えてやりたい。
手を繋いで島を歩くなんて贅沢なことは願わないから、せめて会えたらーーーー
「……え」
何故か目に付いた喫茶店。ガラス張りの窓から店内が見えて、若い男女で席が埋まっている。
図らずも足が止まった。
その中にーーーーー
「ーーーーA！！！」
思わず叫ぶ。店内にいたアイツは声が聞こえたのか、こちらを見て目を見開く。懐かしいその表情に想いが溢れるが、それと同時に体が燃えた。
ちょうど店の隅の席の所為で、アイツの向かい側にいる人間の顔は見えないが、垣間見える足の筋肉のつき方からしてーーー男だ。
もしかし、て、ーーーーー
椅子を倒して立ち上がり、店のドアを力いっぱい開けて出てくるA。その姿に胸に過ぎった疑念は吹き飛ぶ。
呆然と立ち竦む俺も御構い無しで、あの時より幾分か広がった身長差を必死で埋めるように、軽く飛んで首に腕を回して抱きついて来た
「ーーーー会いたかった」
至近距離で、幼いあの日の様な弾けた笑顔。陽に当たってキラキラチカチカ光るように笑うコイツに、心臓がはち切れそうな感覚になる。
「っ〜〜〜いくぞ！！！」
「え」
ここは街中だと叫んだ理性によって、抱きしめるのは後だと手首を掴んで船へと走る。背後を気にした様なコイツのその動作も無視して、とにかく走る。
途中まで喫茶店から出て来た誰かが追いかけて来ていたが、人混みに紛れて撒いた。
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雅榴(プロフ) - 草団子さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！我ながら懐かしいなと思いつつ、未だコメントを頂ける喜びを噛み締めております。コメントありがとうございました！楽しんで頂けたなら幸いです。 (2022年2月7日 2時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
草団子 - 神作品とは、まさにこの作品の為にあると思いました。 (2022年2月6日 15時) (レス) @page39 id: c9f8dc2643 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - おいしいくじらさん» 楽しんで頂けたようで何よりです(笑)かなり前に終わったにも関わらず閲覧していただきありがとうございました。別作品も楽しんで頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました！！ (2020年9月5日 1時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
おいしいくじら(プロフ) - あぁぁあぁあっ！！！好きです！！！！小さい頃のエースとの甘酸っぱいやり取りも、成長した2人の愛情もすごく好きですっっ！！ (2020年9月2日 7時) (レス) id: 6b76715b64 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - Mさん» 返信遅れてすみません！暖かいコメントありがとうございます、これからも好き勝手にしてはいますが、頑張りたいと思います。コメントありがとうございました！ (2020年2月13日 6時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雅榴
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Miraku/
作成日時：2020年1月24日 18時
