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どうか、お気をつけて。 ページ23




彼女は行方不明となり、お館様のご厚意で捜索隊は出されたものの、手がかりさえもなく。
Aは、死亡扱いとなった。



「ごめんね、実弥。
私では、彼女を見つけることは出来なかった」

「いえ……お館様は充分過ぎる程に力を尽くして下さいました。」


不死川は初めて、お館様に顔が見えないよう俯いていることに安堵を覚えた。たとえその安堵すらも見破られていたとしても、だ。


不死川の瞳孔は開き、手が震えている。
数多の感情が混ざり合い、それこそ台風のように感情という感情が大暴れしている。だが不死川は全ての理性をフル動員してそれらを押さえつけている




一方的に、利己的に、Aは自分の言いたいことだけを伝えて消えた。
俺の返事など聞きもせず、きっと最後は満足気に笑っていたのだろう。ムカつく女だ


心底ムカつくんだよォ


言うだけ言って逃げやがった。昔からそうだ
押し付けといて自分はいいと勝手に帰っていく
こっちに恩ばっか売って、返されることを望まない


「……言い逃げしてんじゃねェ、クソ女ァ」


お館様の屋敷を離れ、己の屋敷の縁側で独り想う。
ずるくて、押し付けがましくて、幼稚で、ずっと変わらないあの女。
何か変わったと思えば、消えていなくなった。


綺麗な紋白蝶がいたとはしゃいでいた。
強風で弱った花を必死に手入れして、綺麗な花を咲かせて喜んでいた。
隠の人間にも優しく微笑んでいた
俺を見つけると、今していたことも忘れて名を呼びながら駆け寄ってきた

どの記憶も笑っていることが、妙に忌々しい



「………………A」



背に残る微かな温もりの記憶。
隣で微笑む女の記憶。

どれもこれも、なんだか遠い。




貴方に、祝福あれ(ハレルヤ




月明かりを浴びながら微睡む不死川の耳に、歌声が届く。歌詞は愚か、言語すらも分からない


だが、何故か不死川は薄い意識の中で、それが賛美歌であると確信した



彼女への、賛美歌だ。と







ーーー風柱の屋敷には、彼がいなくなるまで大量の絵が飾られていたという。ーーー

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レッドクランチ - 私の中でドストライクの作品だったので終わるのが悲しい(´;ω;`)あっ最高に面白かったです!! (2019年10月7日 19時) (レス) id: 62b41d8f92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雅榴 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2019年9月29日 23時

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